英語イマージョン学習|Youtubeで英文法#19【would・could】
イマージョンで would・could を理解する

Ikeda worried he would lose his customers if he hiked prices.
この would を「〜だろう」という推量だと読んだ方は、半分だけ正解です。
ここの would は、will が過去に引っぱられて形を変えただけ。
推量の意味は、実はほとんど入っていません。
そして、その10秒後に、店主本人がこう言います。
If I raise prices, it could drive my customers away, even the regulars.
内容はまったく同じ心配です。
ところが語は would から could に変わり、if の中の動詞は過去形から現在形に戻っています。
この10秒のあいだに、would と could のいちばん大事な違いが全部入っているのです。
僕自身、TOEIC300点からのスタートでした。
オンライン英会話を7年続けて910点まで来ましたが、
この2語は長いあいだ「will の過去形」「can の過去形」の丸暗記のままでした。
でも実際の英語を聞くようになって、はっきり分かったことがあります。
would と could の過去形は、時間ではなく距離を表しているのです。
would と could は、過去形にして今ここから距離を取る形。その距離が時間に働けば「過去」、現実に働けば「ありえない仮定」、相手に働けば「丁寧」になる
読み終えるころには、would・could・I’d・wish ~ could・Could you ~? を見たときに、それが時間の話なのか、仮定の話なのか、丁寧さの話なのかを読み分けられるようになっているはずです。
「would=〜だろう、could=できた」と訳で覚えるのではなく、2語が共通して持っている1つの動きを手に入れる、という感覚です。
イマージョン学習で英文法を学ぶ前の確認事項

動画紹介
今回教材にするのは、NHK WORLD-JAPAN のニュース「Cheap and cheerful izakaya face challenging times」です。
物価高で今年上半期の飲食店の廃業が過去最多になり、その4分の1が居酒屋だった——という話題を、
7月末で店を閉める大阪の居酒屋を追いながら伝えています。
わずか3分42秒の短いニュースですが、この記事に必要な材料が全部そろっていました。
選んだ理由は3つあります。
1つめは、would と could が3回、しかも全部ちがう型で出てくることです。
時制の一致の would、if + could、そして I wish + could。
3分半でこの密度は、ニュース素材としてはかなり珍しいほうです。
2つめは、同じ心配が would と could の両方で言われていることです。
ナレーターが過去形で報告した2:26と、店主本人が現在形で語った2:36。
10秒差で聞き比べられる教材は、探してもなかなか見つかりません。
3つめは、ニュースの英語は語りのスピードが安定していることです。
街頭インタビューのように音が崩れないので、‘d の短縮も比較的拾いやすいはずです。
なお今回は、10枚のうち動画のセリフから作れたのは3枚でした。
残り7枚は、居酒屋・値上げ・常連客という動画の場面をそのまま借りた参考例です。
参考例のカードにはすべて印を付けてありますので、どれが実際のセリフかは迷わないようにしてあります。
▼ 動画はこちら
https://youtu.be/CP8KDN_MgY8?si=xIun0PPcTI2Civek
学習の進め方
文法の知識を実際に使いこなすには、
その言葉が使われる場面や気持ちごと覚えるのが近道です。
だからこそ今回は、動画の生きたセリフを教材にして、「would・could」の視点を見ていきます。
読み方は、目的に合わせて選んでみてください。
英語を楽しみながら勉強したい方は、このまま記事を読み進めてください。
動画のセリフをたどりながら、
「would・could」の感覚を少しずつ自分のものにしていけます。
逆に、効率的に英文法だけを押さえたい方は、要点だけをまとめた別記事へどうぞ。
would・could とは何か ― 過去形が作る「距離」

would と could は助動詞です。
can や may や will と同じで、動詞を助ける係であり、自分では意味を運びません。
can がかぶせていたのは潜在、「そうなる力が眠っている」という色でした。
may がかぶせていたのは半々、「どちらに転ぶかわからない」という色でした。
will がかぶせていたのは断定、「そうなる」と言い切る色でした。
must がかぶせていたのは必然、「それ以外にない」という色でした。
では would と could は何をかぶせるのか。
実は、新しい色は足しません。
would は will の色を、could は can の色を、そのまま持っています。
変わるのは置き場所だけです。
過去形にすることで、その色を「今ここ」から一歩遠くに置く。それだけなのです。
ここが日本語話者にとっていちばん納得しづらいところだと思います。
日本語では「過去形=過去のこと」だからです。
でも英語の過去形は、もっと広く「今ここから離れている」という印として働きます。
だから距離の向け先によって、見え方が3つに分かれます。
時間に向ければ、ふつうの過去。「昔はよく行ったものだ」。
現実に向ければ、ありえない仮定。「自分が店主なら」。
相手に向ければ、丁寧・控えめ。「していただけますか」。
3つとも別の文法項目に見えますが、やっていることは1つです。
このシリーズでは、名詞のまわりと修飾を、ここまで13回に分けて整理してきました。
- 限定詞編:冠詞(a / an・the)、some / any / no など、名詞の「前」につく語
- 代名詞編:it / one / that / this など、名詞の「代わり」になる語
- 形容詞編:限定用法・叙述用法・後置修飾・並び順など、名詞を「説明する」語
- 副詞編:位置と頻度・程度など、名詞以外を「説明する」語
- 原級編:as … as で2つを同じ目盛りに乗せる
- 比較級編:-er / more で目盛りをずらして差をつくる
- 最上級編:the -est / most で端を指して言い切る
- 否定編:not と no で、打ち消す範囲を指し示す
- 助動詞 can 編:動詞に「そうなる可能性」をかぶせる
- 助動詞 may 編:動詞に「どちらに転ぶかわからない半々」をかぶせる
- 助動詞 will 編:動詞に「そうなる、という言い切り」をかぶせる
- must・have to・should 編:動詞に「それ以外にない」「事情がそうさせる」「そのほうがいい」をかぶせる
- would・could 編(この記事):will と can の色を、過去形にして「今ここ」から遠ざける
なお、could の「控えめな can」の使い方は、can 編のカード⑯で一度扱っています。
今回はそこには深入りせず、would と対にして「距離の作り方」として見ることに集中します。
can 編を読み返したい方は、こちらからどうぞ。
前回の must・have to・should 編をまだ読んでいない方は、先にこちらを読むと今回の話がつながりやすくなります。
イマージョンで学ぶ【would・could】10の顔

ここからは、動画のセリフを使いながら、would と could が持つ10の顔を1つずつ見ていきましょう。
前半3つは動画に実際に出てくるセリフ、後半7つは動画の場面をもとにした参考例です。
① 動画のセリフで見る would / could
- would(時制の一致) ― 過去の時点から見た「これから」
- if + could ― そうなりかねない、と幅を残す
- I wish + could ― 叶わないと分かっている願い
② would の他の顔
- If I were …, I’d … ― ありえない仮定の would
- Would you …? ― 丁寧・控えめの would
- would + 原形 ― 昔はよく〜したものだ
- ‘d(短縮形) ― would は音が潰れて消える
③ could の他の顔
- If I had …, I could … ― ありえない仮定の could
- Could you …? / Would you …? ― 依頼の向き先が違う
- would と could ― 元が will か can かだけの違い
④〜⑩の7つは動画に該当するセリフがないため、動画の場面をもとにした参考例です(カードにも印を付けてあります)。
④〜⑦と⑧〜⑩は、それぞれ図解を1枚にまとめています。
以下のカードをタップすると、それぞれの視点を実際の例文つきで詳しく確認できます。
カードをタップすると詳しい説明が開きます
この2語がやっていることは、たった1つです。過去形にして、今ここから距離を取る。
その距離が時間に働けば「過去の話」になり、現実との間に働けば「ありえない仮定」になり、相手との間に働けば「丁寧・控えめ」になります。
まずは動画に実際に出てくる3つ(カード1〜3)で、その距離の感覚をつかみます。そのうえで、would の他の顔(カード4〜7)とcould の他の顔(カード8〜10)を見ていきます。「過去形=過去」ではなく「過去形=距離」だと分かると、この2語は一度で整理できます。
would は「〜だろう」と訳されることが多い語ですが、この文の would は推量ではありません。will が過去に引っぱられて形を変えただけです。
池田さんが実際に頭の中で考えていたのは、I will lose my customers if I hike prices.(値上げしたら客を失うだろう)という現在形の心配だったはずです。それをナレーターが過去形の worried で報告したので、中の will もwould に下がりました。これが時制の一致です。
大事なのは、would が指しているのは「今から見た未来」ではないということです。池田さんが心配していたあの時点から見た、これからを指しています。視点そのものが過去に移っているので、そこから伸びる矢印も過去形になる、というだけの話です。
- will → would:He says he will come. → He said he would come.
- can → could:She says she can help. → She said she could help.
- 現在形 → 過去形:if he hikes → if he hiked(この文で実際に起きている変化)
- 下がるのは節の中だけ:主節の worried はもともと過去形で、これが引き金になる
- 変わらない場合もある:今も変わらない事実を言うときは現在形のまま置くこともある
※ ルール中の一般例には、この動画に登場しない参考例も含まれます。
worried / said / thought のように主節が過去形なら、そのあとに続く would は推量ではなく時制の一致を疑ってください。if の中の動詞も一緒に過去形になっていれば、ほぼ確定です。
- If I raise prices, it could drive my customers away, even the regulars.(値上げすれば常連客まで離れていきかねない・2:36/同じ心配を本人が現在形で言った形=カード②)
- He eventually decided to close up.(彼は最終的に閉店を決めた・2:30/この心配の結末)
こちらは池田さん本人のことばです。カード①でナレーターが would を使って報告していた心配を、本人はcould で言っています。10秒差で聞き比べられる、とても贅沢な並びです。
ここで見てほしいのは if の中の動詞です。raise と現在形のままですね。これは「実際に起こりうる条件」を表します。もし raised と過去形になっていたら、「ありえないけれど、もし仮に」という別の話になっていました(カード⑧)。
そして could です。ここを will にすれば「そうなる」と言い切ることになりますが、could にすると「そうなりかねない」と幅が残ります。can が持っている「ありうる」という色を、過去形にして一歩引かせた形です。even the regulars(常連客までも)と付け足しているところに、本人の実感がにじんでいます。
現在形(raise)なら、現実にありうる条件の話です。過去形(raised)なら、ありえない仮定の話に変わります。同じ if でも、中の形ひとつで話者がそれをどれくらい現実だと思っているかが変わります。
- Ikeda worried he would lose his customers if he hiked prices.(値上げすれば客を失うと心配していた・2:26/同じ心配のナレーター版=カード①)
- Cheap and cheerful izakaya may well become an endangered species in these challenging times.(安くて賑やかな居酒屋は絶滅危惧種になりかねない・3:37/may well も言い切りを避ける仲間)
常連客のひとりが、閉店を惜しんで言ったことばです。I wish のうしろが can ではなく could になっているところが今回の急所です。
wish は「〜だったらいいのに」という語で、そうなっていないと分かっているときに使います。この人は実際には説得できていません。説得できない現実があって、そこから遠く離れた願いを口にしているので、その距離が過去形になって表れます。
文の後半を見ると、それがはっきりします。but it can’t be helped(でも、どうしようもない)。本人が「もう無理だ」と認めているのです。だから can ではなく could なんですね。過去の話をしているのではありません。今の願いなのに、届かないから形だけ過去へ下げているのです。
- hope:まだ叶う見込みがある。うしろは現在形や will(I hope he stays open.)
- wish:もう叶わないと分かっている。うしろは過去形(I wish he stayed open.)
- wish + could:「できたらいいのに(実際はできない)」
- wish + were:I wish I were younger.(若かったらいいのに)※ was も使われる
- もっと遠い過去の願い:I wish I had known.(知っていればよかった)
※ ルール中の一般例には、この動画に登場しない参考例も含まれます。
まだ望みがあるなら hope、もう無理だと分かっているなら wish。そして wish を選んだ時点で、うしろは自動的に過去形になります。「今の願いなのに過去形」という違和感こそが、wish の目印です。
- I wanted the pub to carry on.(あの店には続けてほしかった・1:10/別の常連客。こちらは want の過去形で、素直に「そう思っていた」と言っているだけ)
- It’s hard to accept such a nice place closing. I want it to stay afloat.(こんないい店が閉まるのは受け入れがたい。持ちこたえてほしい・1:23/こちらは現在形の want)
カード②の If I raise prices, … と見比べてください。あちらは if の中が現在形で、実際に起こりうる条件でした。こちらは If I were と過去形になっています。
過去形にした瞬間、意味が変わります。「自分は店主ではない」という事実が前提になり、ありえないと分かっている仮定の話になるのです。これがいわゆる仮定法過去です。
そして主節が I’d(=I would)keep です。if の中が過去形なら、主節は would + 原形。この組み合わせがセットで動きます。過去形が2つ並んでいるのに、話しているのは今のこと——ここが日本語話者のいちばんの壁です。
- if + 現在形 → 主節は will / can / could:ありうる話(カード②)
- if + 過去形 → 主節は would / could + 原形:ありえない話(このカード)
- be動詞は were:主語が I や he でも If I were / If he were が基本(was も使われる)
- if + had + 過去分詞 → 主節は would have + 過去分詞:過去のありえない話
※ ルール中の例はすべて、この動画に登場しない参考例です。
「現実ではない」という印として過去形が使われています。主節に would か could が出てくれば、ほぼ確実にこの形です。
- If I had his courage, I would start my own shop.(彼くらい度胸があれば、自分の店を始めるのに)
- If prices weren’t so high, the pub would still be open.(物価がここまで高くなければ、店はまだ開いていただろう)
ここでも仕組みは同じです。Will you bring us two beers? でも通じますが、やや直接的で、命令に近く響くことがあります。would にすると一歩下がった言い方になります。
なぜ過去形にすると丁寧になるのか。過去形は「今ここ」から距離を取る形だからです。その距離が時間に働けば「昔の話」になり、相手との間に働けば「踏み込みすぎない」になります。まったく同じ働きが、別の方向に出ているだけなのです。
同じ理屈で、I want ~ より I’d like ~ のほうが丁寧です。I think ~ より I’d say ~ のほうが控えめになります。would を足すたびに、話し手は半歩ずつ後ろに下がっていくと考えると分かりやすいはずです。
相手への依頼なら丁寧、自分の意見なら控えめ。どちらも言い切らずに半歩下がるための would です。
- I’d like a small beer, please.(小さいビールをお願いします/I want より柔らかい)
- I’d say it’s the inflation.(インフレのせいだと思いますね/I think より控えめ)
これだけは本当に過去の話をしている would です。「昔はよく〜したものだ」という、過去の習慣を表します。
ポイントは1回きりの出来事には使えないことです。くり返し起きていたことにしか使えません。だから every Friday のような頻度を表す語がいっしょに出てくることが多いのです。
似た言い方に used to があります。違いは状態に使えるかどうかです。used to は動作にも状態にも使えますが、would は動作にしか使えません。There used to be an izakaya here.(昔ここに居酒屋があった)は言えますが、ここを would には置き換えられません。
- would:くり返しの動作のみ。We would go there every Friday.
- used to:動作も状態もOK。There used to be an izakaya here.
- 1回きりはどちらも不可:「去年1度だけ行った」は went で言う
- would は頻度の語とセットで出やすい:every ~ / always / often
※ ルール中の例はすべて、この動画に登場しない参考例です。
頻度の語といっしょに出てくる would は過去の習慣です。状態を言いたいときは used to に持ち替えます。
- My father would always order the same dish.(父はいつも同じ料理を頼んだものだ)
- There used to be a cheap pub on this corner.(この角には昔、安い居酒屋があった/would には置き換えられない)
ここまで would の意味を4つ見てきましたが、実際の会話で would がいちばん厄介なのは、意味ではなく音です。would はほとんどの場合 ‘d に潰れます。
I would は I’d、he would は he’d、we would は we’d。ほんの一瞬の d の音しか残りません。意味を知っていても、この音を拾えなければ聞き取れないのです。
さらに厄介なのが、‘d には had の可能性もあることです。見分け方はうしろの形だけです。‘d + 動詞の原形なら would(I’d say)。‘d + 過去分詞なら had(I’d said)。音ではなく、直後の形で判断します。
- ‘d + 原形 → would:I’d say / he’d come
- ‘d + 過去分詞 → had:I’d said / he’d come(come は同形なので文脈で判断)
- ‘d like / ‘d rather は必ず would:かたまりで覚えてしまう
- 否定は wouldn’t:こちらは音が残るので比較的拾いやすい
※ ルール中の例はすべて、この動画に登場しない参考例です。
原形なら would、過去分詞なら had。音で区別しようとすると必ず迷いますが、形なら確実に決まります。
- He’d lose his regulars.(彼は常連客を失うだろう/’d + 原形なので would)
- He’d already closed the pub.(彼はすでに店を閉めていた/’d + 過去分詞なので had)
カード④の would 版と、まったく同じ形です。if の中が過去形(had)なので、「実際にはお金がない」という前提が入っています。
違うのは主節だけです。would なら「そうするのに」、could なら「そうできるのに」。would は意志、could は能力・可能性を言っています。
この差は、元の語まで戻すとすっきりします。would は will の過去形で、will は「そうする」という意志の語でした。could は can の過去形で、can は「できる・ありうる」という可能性の語でした。距離の作り方が同じなだけで、運んでいる中身は最初から違うのです。
やる気の話なら would、できるかどうかの話なら could。if の中が過去形になっている点は、どちらも変わりません。
- If ingredients weren’t so expensive, he could keep the prices low.(材料がここまで高くなければ、値段を抑えられるのに)
- If I were him, I would try a lunch-only menu.(自分が彼なら、ランチだけの店にしてみるのに/こちらは意志)
どちらも丁寧な依頼で、実際には交換して使われることが多い2つです。ただ、元の語まで戻すと向き先が違います。
Could you ~? は can 由来なので、「それをする能力・余裕がありますか」と尋ねています。Would you ~? は will 由来なので、「それをする気がありますか」と尋ねています。
実用上のコツを1つだけ。相手にとって手間がかかりそうなときは Could you ~? のほうが安全です。「できますか」と聞いているので、断る余地を残せるからです。Would you ~? は意志を直接聞くぶん、断りにくさがわずかに残ります。
能力を尋ねる形のほうが、相手に断る余地を残せます。どうしても意志を確認したい場面だけ Would you ~? に切り替えます。
- Could you tell me when you close?(何時に閉まるか教えていただけますか)
- Would you mind if I sat here?(ここに座ってもかまいませんか/mind とセットで使う形)
最後に、10枚を1本の線でつなぎます。would も could も、やっていることはたった1つです。過去形にして、今ここから距離を取る。それだけです。
その距離が時間に働けば「過去の話」になります(カード①の時制の一致、カード⑥の過去の習慣)。現実との間に働けば「ありえない仮定」になります(カード③④⑧)。相手との間に働けば「丁寧・控えめ」になります(カード⑤⑨)。3方向に散らばって見えて、根は同じなのです。
では would と could は何が違うのか。元の語が違うだけです。would ← will(意志・予測)、could ← can(できる・ありうる)。I’d help you. は「手伝う気がある」、I could help you. は「手伝う余裕がある」。距離の取り方が同じで、運んでいる中身が違う——これが今日の結論です。
「する」なら would、「できる・ありうる」なら could。過去形にするかどうかは、そのあとで決めれば十分です。
- I wouldn’t raise the prices.(自分なら値上げはしない/意志の否定)
- It couldn’t be helped.(どうしようもなかった/可能性の否定。動画の it can’t be helped の過去版)
一人プレゼンを実施してみる

まずは何も見ずに例文を自分で作って説明してみて、
うまく言えなかった項目だけ解説例を確認する、
という使い方がおすすめです。
10問あるので、1日に全部やろうとしなくて構いません。
とくに②と④の2つだけは、続けてやってみてください。
if の中が現在形か過去形かで意味が変わる——ここが今回いちばん実用的なところです。
① would(時制の一致)、説明できますか?

例文:
Ikeda worried he would lose his customers if he hiked prices.
池田さんは、値上げすれば客が離れてしまうと心配していた。
要点:
- would は推量ではなく、will が過去に引っぱられた形
- 本人の頭の中は I will lose my customers …(現在形)だった
- 指しているのは「今から見た未来」ではなく「心配した時点から見た未来」
解説例:
would は「〜だろう」と訳されることが多いですよね。
でも、この文の would は推量ではありません。
will が過去に引っぱられて、形を変えただけなんです。
池田さんが実際に考えていたのは、I will lose my customers if I hike prices. だったはずです。
「値上げしたら客を失うだろうな」という、現在形の心配ですね。
それをナレーターが過去形の worried で報告したので、中の will も would に下がりました。
これが時制の一致です。
面白いのは、if の中の hike も hiked になっていることです。
would だけが下がるのではなく、文全体が過去にそろうんですね。
だからこの would が指しているのは、今から見た未来ではありません。
池田さんが心配していた、あの時点から見た未来です。
② if + could、説明できますか?

例文:
If I raise prices, it could drive my customers away, even the regulars.
値上げすれば、常連客までも離れていきかねない。
要点:
- if の中が現在形(raise)なので、現実にありうる条件
- could は「そうなる」ではなく「そうなりかねない」
- カード①と同じ心配を、本人が現在形で言った形
解説例:
これは池田さん本人のことばです。
カード①でナレーターが would を使って報告していた心配を、本人は could で言っています。
10秒差で聞き比べられる、贅沢な並びなんですね。
まず見てほしいのは、if の中の動詞です。
raise と現在形のままですよね。
これは「実際に起こりうる条件」を表しています。
もし raised と過去形だったら、「ありえないけど、もし仮に」という別の話になっていました。
そして could です。
ここを will にすると「そうなる」と言い切ってしまいます。
could なら「そうなりかねない」と幅が残るんですね。
can の「ありうる」を、過去形にして一歩引かせた形です。
③ I wish + could、説明できますか?

例文:
I wish I could convince him not to close, but it can’t be helped.
閉めないよう説得できたらいいのに。でも、どうしようもない。
要点:
- wish は「そうなっていない」と分かっているときに使う
- だからうしろは can ではなく could(形だけ過去に下げる)
- but it can’t be helped が「もう無理だ」と認めている証拠
解説例:
常連客のひとりが、閉店を惜しんで言ったことばです。
I wish のうしろが、can ではなく could になっていますよね。
ここが今回の急所です。
wish は「〜だったらいいのに」という語で、そうなっていないと分かっているときに使います。
この人は、実際には説得できていないんですね。
説得できない現実があって、そこから遠く離れた願いを言っている。
その距離が、過去形になって表れているんです。
証拠は後半にあります。
but it can’t be helped、つまり「でも、どうしようもない」と本人が認めています。
だから can ではなく could なんですね。
過去の話をしているわけではありません。今の願いなのに、届かないから形だけ過去に下げているんです。
ここからは、would の他の顔です。
この4つは動画に該当するセリフがないので、動画の場面をもとにした参考例で説明します。
図解も1枚にまとめてあるので、下の一覧を見ながら順番に説明してみてください。
④ If I were …, I’d …、説明できますか?

例文:
If I were the owner, I’d keep the pub open.
自分が店主なら、店を続けるのに。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- if の中が過去形(were)=ありえないと分かっている仮定
- そのとき主節は would + 原形になる(セットで動く)
- 過去形が並んでいても、話しているのは今のこと
解説例:
カード②の If I raise prices … と見比べてみてください。
あちらは if の中が現在形で、実際に起こりうる条件でしたよね。
こちらは If I were と、過去形になっています。
過去形にした瞬間、意味が変わるんです。
「自分は店主ではない」という事実が前提になって、ありえない仮定の話になります。
これがいわゆる仮定法過去ですね。
そして主節が I’d keep、つまり I would keep です。
if の中が過去形なら、主節は would + 原形。
この組み合わせがセットで動きます。
過去形が2つ並んでいるのに、話しているのは今のことなんです。
ここが日本語話者にとっていちばんの壁だと思います。
⑤ Would you …?、説明できますか?
例文:
Would you bring us two beers?
ビールを2つ持ってきていただけますか。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- Will you ~? より Would you ~? のほうが丁寧
- 過去形は「今ここから距離を取る」形
- 距離が時間に働けば過去、相手との間に働けば丁寧になる
解説例:
ここでも仕組みは同じです。
Will you bring us two beers? でも通じます。
ただ、やや直接的で、命令に近く響くことがあるんですね。
would にすると、一歩下がった言い方になります。
なぜ過去形にすると丁寧になるのか。
過去形は「今ここ」から距離を取る形だからです。
その距離が時間に働けば「昔の話」になります。
相手との間に働けば「踏み込みすぎない」になるんです。
まったく同じ働きが、別の方向に出ているだけなんですね。
同じ理屈で、I want より I’d like のほうが丁寧です。
I think より I’d say のほうが控えめになります。
⑥ would + 原形、説明できますか?
例文:
We would go to that izakaya every Friday.
毎週金曜、あの居酒屋に行ったものだ。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- これだけは本当に過去の話をしている would
- くり返し起きていた動作にしか使えない(1回きりは不可)
- 状態を言いたいときは used to に持ち替える
解説例:
これだけは、本当に過去の話をしている would です。
「昔はよく〜したものだ」という、過去の習慣を表します。
ポイントは、1回きりの出来事には使えないことです。
くり返し起きていたことにしか使えません。
だから every Friday のような、頻度を表す語がいっしょに出てくることが多いんですね。
似た言い方に used to があります。
違いは、状態に使えるかどうかです。
used to は動作にも状態にも使えます。
でも would は動作にしか使えません。
There used to be an izakaya here.(昔ここに居酒屋があった)は言えますが、would には置き換えられないんです。
⑦ ‘d(短縮形)、説明できますか?
例文:
I’d say it’s the inflation.
インフレのせいだと思いますね。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- would は会話ではほとんど ‘d に潰れる
- ‘d には had の可能性もある
- 見分けるのは音ではなく、直後の動詞の形
解説例:
ここまで would の意味を見てきましたが、実際の会話でいちばん厄介なのは意味ではありません。
音なんです。
would は、ほとんどの場合 ‘d に潰れます。
I would は I’d、he would は he’d、we would は we’d。
ほんの一瞬の d の音しか残りません。
意味を知っていても、この音を拾えなければ聞き取れないんですね。
さらに厄介なのが、’d には had の可能性もあることです。
見分け方は、うしろの形だけです。
‘d + 動詞の原形なら would。I’d say がこれですね。
‘d + 過去分詞なら had。I’d said ならこちらです。
音ではなく、直後の形で判断する——これが確実です。
最後は、could の他の顔です。
こちらの3つも動画には登場しない参考例です。
would と並べて、どこが同じでどこが違うのかを言えるようにしていきましょう。
⑧ If I had …, I could …、説明できますか?

例文:
If I had more money, I could keep the pub open.
お金がもっとあれば、店を続けられるのに。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- if の中が過去形=ありえない仮定(カード④と同じ形)
- would は「そうするのに」、could は「そうできるのに」
- would は will 由来の意志、could は can 由来の可能性
解説例:
カード④の would 版と、まったく同じ形です。
if の中が過去形の had なので、「実際にはお金がない」という前提が入っています。
違うのは主節だけなんですね。
would なら「そうするのに」、could なら「そうできるのに」です。
would は意志、could は能力や可能性を言っています。
この差は、元の語まで戻すとすっきりします。
would は will の過去形で、will は「そうする」という意志の語でした。
could は can の過去形で、can は「できる・ありうる」という可能性の語でした。
距離の作り方が同じなだけで、運んでいる中身は最初から違うんです。
⑨ Could you …? / Would you …?、説明できますか?
例文:
Could you turn it down? / Would you turn it down?
音を下げていただけますか。(できますか/する気はありますか)(※動画には登場しない参考例)
要点:
- どちらも丁寧な依頼で、実際には交換して使われることが多い
- Could you ~? は can 由来で「できますか」
- Would you ~? は will 由来で「する気はありますか」
解説例:
どちらも丁寧な依頼で、実際には交換して使われることが多い2つです。
ただ、元の語まで戻すと向き先が違うんですね。
Could you ~? は can 由来なので、「それをする能力や余裕がありますか」と尋ねています。
Would you ~? は will 由来なので、「それをする気がありますか」と尋ねています。
実用上のコツを1つだけ挙げますね。
相手にとって手間がかかりそうなときは Could you ~? のほうが安全です。
「できますか」と聞いているので、断る余地を残せるからです。
Would you ~? は意志を直接聞くぶん、断りにくさがわずかに残ります。
迷ったら Could you ~? を選んでおけば、まず外しません。
⑩ would と could、説明できますか?
例文:
I’d help you. / I could help you.
手伝いますよ。/手伝えますよ。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- would も could も、やることは「過去形にして距離を取る」1つだけ
- 距離が時間・現実・相手のどこに働くかで3つの顔になる
- would は will 由来、could は can 由来。中身が違うだけ
解説例:
最後に、10枚を1本の線でつなぎますね。
would も could も、やっていることはたった1つです。
過去形にして、今ここから距離を取る。それだけなんです。
その距離が時間に働けば「過去の話」になります。
現実との間に働けば「ありえない仮定」になります。
相手との間に働けば「丁寧・控えめ」になります。
3方向に散らばって見えて、根は同じなんですね。
では would と could は何が違うのか。
元の語が違うだけです。
would は will から、could は can から来ています。
だから I’d help you. は「手伝う気がある」、I could help you. は「手伝う余裕がある」になるんです。
一人で言えた例文は、相手がいると急に出てこなくなります。
文法が身につくのは、通じた/通じなかったを自分の耳で確かめた瞬間です。
とくに would と could は相手との距離を決める語なので、一人では正解が分かりません。
Could you ~? と Would you ~? を実際に使い分けてみて、相手の反応を見るのがいちばん早い練習になります。
今日の表現をAnkiで復習しよう

記事に出てきた動画の表現を、そのままAnkiに取り込めるようにまとめました。
今回は新しい動画なので、12表現すべて新規です。
ニュース素材なので、go out of business や end up in the red のような、
経済の話でそのまま出てくる言い方が多く入っています。
そこに、店の様子を描く表現(buzzing/be packed with ~/be blessed with ~)を混ぜました。
今回のテーマに引きつけて1つ挙げるなら、it can’t be helped(どうしようもない)です。
動画では I wish I could ~ のすぐ後ろに出てきて、「その願いはもう叶わない」と種明かしをする役目を果たしています。
wish が過去形を呼ぶ理由が、この一言でよく分かるはずです。
意味だけでなく、どんな場面で使われていたかごと覚えてしまってください。
知らなかった表現を追加・編集して、自分専用のカードを作ってみてください。
知らなかった表現を追加・編集して、そのままAnkiに取り込めます。
| 表現 | 発音記号 | 意味 | 動画の例文 | シンプル例文 |
|---|
- PC・Android(AnkiDroid含む):「💻 PC・Android用」ボタンで
anki_import.txtをダウンロードし、Ankiのファイル → インポートから取り込む(区切り文字はTabを選択) - iPhone(AnkiMobile):「📱 iPhone用」ボタンで
anki_import.apkgをダウンロードし、AirDropやFilesアプリでiPhoneに送って、AnkiMobileの設定(歯車) → Import File から開く
まとめ:would・could の10の顔を再確認しよう

さて、今回は「would と could の過去形は、時間ではなく距離を表している」というテーマで、10の顔を見てきました。
- would(時制の一致) ― will が過去に引っぱられただけ。推量ではない
- if + could ― if の中が現在形なら、現実にありうる話
- I wish + could ― 叶わないと分かっているから過去形になる
- If I were …, I’d … ― if の中が過去形なら、ありえない仮定
- Would you …? ― 距離が相手に向かうと丁寧になる
- would + 原形 ― 過去の習慣。状態には used to を使う
- ‘d(短縮形) ― 原形が続けば would、過去分詞が続けば had
- If I had …, I could … ― 仮定の中で「できるのに」を言う形
- Could you …? / Would you …? ― 能力を聞くか、意志を聞くか
- would と could ― 距離の作り方は同じ。元が will か can かだけ
10と聞くと多く感じますが、出発点はたった1つです。
過去形にして、今ここから距離を取る。
その距離を時間に向ければ、ふつうの過去になります。
現実に向ければ、ありえない仮定になります。
相手に向ければ、丁寧・控えめになります。
would と could の違いは、運んでいる中身が will か can か、それだけです。
そしてもう1つ、聞き取りの現実として覚えておきたいことがあります。
会話の would は、ほぼ ‘d に潰れて聞こえます。
意味を知っていても、この音を拾えなければ通り過ぎてしまいます。
今日の10のうち、まずおすすめしたいのは②の if + could と⑨の Could you ~? です。
この2つが体に入ると、英語で人と話すときの角が一気に取れます。「そうなりかねない」と幅を残して言えるだけで断定を避けられますし、「していただけますか」を Could you ~? で言えると、相手に断る余地を残したまま頼めるからです。
もし今日の内容で「なるほど」と思った部分があれば、ぜひコメントで教えてください。
次回は、助動詞シリーズの締めくくりとして「助動詞 + have + 過去分詞」に進む予定です。
would have / could have / must have など、過去のことを今から振り返って推量する形を扱います。
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