イマージョンで不定詞の意味上の主語を理解する

If you really want your children to be bilingual, then Make Sure They Actually Want To.

「子どもを本当にバイリンガルにしたいなら、子ども自身がそれを望んでいるか確かめてください」

息子を3か国語で育ててきたイタリア人の父親が、「いちばん大切」と言って最後に残したアドバイスです。

前半にも後半にも want と to があります。

でも、望んでいる人が違います。前半は親、後半は子ども本人です。

学校では「不定詞の意味上の主語は for + 人で表す。性格を表す形容詞なら of + 人」と習いました。

でもその説明だけでは、I want to と I want him to がなぜ違うのか、なぜふだんは何も書かないのかが見えてきません。

僕自身、TOEIC300点からのスタートでした。

オンライン英会話を7年続けて910点まで来ましたが、

意味上の主語は長いあいだ「for と of の選択問題」でした。

でも生の英語を聞くようになって、はっきり分かったことがあります。

意味上の主語とは「to の矢印の先の行為を、実際にするのは誰か」。ふだんは文の主語なので書かず、違う人のときだけ to の直前に置くということです。

to の行為をするのは、書いていなければ文の主語。違う人なら to の直前に置く

読み終えるころには、I want to ~ と I want you to ~、It’s hard for me to ~ を、英会話の中で迷わず言い分けられるようになっているはずです。

イマージョン学習で英文法を学ぶ前の確認事項

動画紹介

今回教材にするのは、MosaLingua の「How To Raise A Bilingual Child: My Personal Experience And Tips」という動画です。

フランスに住むイタリア人の父親が、息子のノアをイタリア語・フランス語・ルーマニア語の3か国語で育ててきた体験を語ります。

2歳まであまり話さず先生に心配されたこと、周りの目、そして5つのコツ。

約8分半。語学アプリの会社のチャンネルですが、文法の授業ではなく、父親が自分の体験を話す動画です。

今回この動画を選んだのには理由があります。

意味上の主語は、実は自然な会話にはあまり出てこない文法です。

子育て・結婚式のスピーチ・住宅問題・料理など、約85本の字幕を数えましたが、for 人 to は1本あたり多くても5〜7回、It’s kind of you to は1回も出てきませんでした。

その中でこの動画は、「私が〜したい(I want to)」と「息子に〜してほしい(I want him to)」が何度も並ぶ、いちばん密度の高い1本でした。

子どもにこうなってほしい、と語る子育ての話は、意味上の主語の宝庫です。

なお、8:01以降はチャンネルの告知なので、例文には使っていません。

12枚のうち10枚を動画のセリフで組み、残りの2枚(for 人 to の2つめと of 人 to)は、動画の場面を借りた参考例です。

▼ 動画はこちら

時間がない方は、0:00〜0:24(too much for him to handle → I want to share)と7:05〜7:25(want your children to be bilingual → They Actually Want To)の2か所だけでも見てみてください。

学習の進め方

文法の知識を実際に使いこなすには、

その言葉が使われる場面や気持ちごと覚えるのが近道です。

だからこそ今回は、動画の生きたセリフを教材にして、「不定詞の意味上の主語」の視点を見ていきます。

読み方は、目的に合わせて選んでみてください。

英語を楽しみながら勉強したい方は、このまま記事を読み進めてください。

動画のセリフをたどりながら、

「意味上の主語」の感覚を少しずつ自分のものにしていけます。

逆に、効率的に英文法だけを押さえたい方は、要点だけをまとめた別記事へどうぞ。

30代・40代の英語やり直し|英文法200時間(参考書10周)を乗り越える勉強法 文法学習は1冊を徹底的に10周する 30代・40代で英語をやり直そうとすると、多くの人が文法で止まります。 日本語...

不定詞の意味上の主語とは何か ― to の行為をするのは誰か

記事32で、to は「これから向かう先を指す矢印」、記事33で、そのかたまりが文のどこにはまるかで3つの用法に分かれると整理しました。

今回の視点はもう1つです。その矢印の先の行為を、実際にするのは誰か。

これを意味上の主語と呼びます。

I want to share. ― 共有するのは I(文の主語)。何も書かない

It’s possible to raise a bilingual child. ― 育てるのは「誰でも」。何も書かない

I want him to make a connection. ― つながりを持つのは him。動詞のうしろ(to の直前)に置く

too much for him to handle ― 受けとめるのは him。動詞が人を受けとめられないのでfor で立てる

It’s kind of you to share. ― 共有するのは you。kind がその人の性格なのでof で立てる

どの形でも、意味上の主語は to の直前に来ます。to の前を見れば、誰の行為かがわかります。

  • 書かない(文の主語):I want to share/I’m happy to be able to share/A child might want to speak … to communicate
  • 書かない(一般の人):it’s possible to raise a bilingual child
  • 動詞のうしろに置く:want him to make/want your children to be/want my son to speak/helping your child make
  • for 人・of 人で立てる:too much for him to handle/It’s important for children to …/It’s kind of you to …

このシリーズでは、ここまで33回に分けて、名詞のまわりと修飾、助動詞、前置詞、WH修飾、動詞の -ing 形、そして to 不定詞のコアイメージと3用法を整理してきました。

  • 限定詞編・代名詞編・形容詞編・副詞編:名詞の前につく語、代わりになる語、説明する語
  • 比較編・否定編:目盛りを使う/打ち消す範囲を指し示す
  • 助動詞編(can・may・will・must・would・could・have+過去分詞):動詞に話し手の気持ちをかぶせる
  • 前置詞編(at・in・on/to・for・from/of・with・by/under・over・through・about):位置・方向・近さ・通り道を絵で表す
  • WH修飾編(関係代名詞・関係副詞・what・疑問詞の名詞節):名詞のうしろに説明をぶら下げる・疑問文を名詞にする
  • -ing 形編(現在分詞・動名詞・分詞構文):-ing の「動いている最中」を、修飾・名詞・文への付け足しに使う
  • to 不定詞編(コアイメージ・3用法・意味上の主語):to の矢印で「これから向かう先の行為」を指し、文にはめ、誰の行為かを示す

前回の3用法編をまだ読んでいない方は、先にこちらからどうぞ。今回の意味上の主語も、そこで見た矢印の絵で説明しています。

英語イマージョン学習|Youtubeで英文法#33【to不定詞の3用法】to不定詞の3用法は、見分け問題のための暗記ではありません。30日でブレイクダンスに挑むTim Kimの動画のセリフ12個で、toのかたまりが文のどこにはまるかで名詞的・形容詞的・副詞的が決まる仕組みを整理します。...
 \ 詳細説明はP453~474 /

イマージョンで学ぶ【不定詞の意味上の主語】12の顔

ここからは、動画のセリフを使いながら、不定詞の意味上の主語が持つ12の顔を1つずつ見ていきましょう。

最初の4つが書いていない意味上の主語、次の4つが目的語が意味上の主語になる形、続く3つがfor 人・of 人、最後の1つが望んでいる人が入れ替わる目玉です。

12枚のうち10枚が動画に実際に出てくる例文で、2枚は「※動画には登場しない参考例」と明記しています。

① 書いていない意味上の主語

  1. I want to share ― 書いていなければ、to の行為をするのは文の主語
  2. I’m very happy to be able to share ― 感情の to も、感じている本人の行為
  3. A child might want to speak … to communicate ― 目的の to も文の主語
  4. it’s possible to raise ― 誰でもいいときも書かない(一般の人)

② 目的語が意味上の主語

  1. I want him to make ― to の前の人が、to の行為をする
  2. Do you want your children to be ― 疑問文でも同じ。代名詞なら目的格
  3. I want my son to speak … so badly ― 気持ちの持ち主と、行為をする人が分かれる
  4. helping your child make ― to がなくても、人が意味上の主語

③ for 人・of 人

  1. too much for him to handle ― for で「誰が」を立てる
  2. It’s important for children to hear ― 会話でいちばん使う形(参考例)
  3. It’s kind of you to ― 人の性格をほめる・とがめるときは of(参考例)

④ 望んでいるのは誰か

  1. want your children to be … They Actually Want To ― 同じ want to でも、望む人が入れ替わる

以下のカードをタップすると、それぞれの視点を実際の例文つきで詳しく確認できます。

カードをタップすると詳しい説明が開きます

不定詞の意味上の主語 は、to の矢印の先の行為を、実際にするのは誰かです。
書いていなければ文の主語(または一般の人)。別の人がするときは、want 人 to のように動詞のうしろに置くか、for 人 to/of 人 to で立てます。
息子を3か国語で育てた父親のセリフから、12枚のうち10枚を動画のセリフで組みました(for 人 to の残りと of 人 to は参考例)。
主語 動詞 目的語・人 補語 意味上の主語(to の行為をする人) to 不定詞 for・of 修飾・その他
セクション① 書いていない意味上の主語want to・happy to・to communicate・it’s possible to(カード1〜4)
I want to share 書いていなければ、to の行為をするのは文の主語 ▼
Today, I want to share my experience so far
タップして詳しく見る →
Today, I want to share my experience so far
今日は、ここまでの私の体験をお話ししたいと思います
出典:動画スクリプト(0:19)

動画の冒頭、息子を3か国語で育ててきたイタリア人の父親が、話のテーマを言う場面です。Today, I want to share my experience so far(今日は、ここまでの体験をお話しします)。

to share(共有する)の矢印の先の行為を、実際にやるのは誰か。もちろん、話している I です。このように、to の行為をする人を意味上の主語と呼びます。

意味上の主語が文の主語と同じときは、何も書きません。英語はわかりきったことをくり返さない言葉なので、I want me to share とは言いません。書いていなければ、まず文の主語。これがこの記事のいちばん大事なルールです。

ルール
to の前に人が書いていなければ、to の行為をするのは文の主語。
I want to share. = 共有するのは I
他の「主語がそのまま」(スクリプトより)
  • I wanted to record this video(1:18)
  • I decided to limit myself to five tips(7:46)
I’m very happy to be able to share 感情の to も、気持ちを感じている本人の行為 ▼
I’m very happy to be able to share what I’ve learned
タップして詳しく見る →
I’m very happy to be able to share what I’ve learned about this topic
このテーマについて学んだことを共有できて、とてもうれしいです
出典:動画スクリプト(1:37)

本や記事を読み、ほかのバイリンガル家庭と話して学んだことを紹介する前置きです。I’m very happy to be able to share what I’ve learned(学んだことを共有できて、とてもうれしい)。

記事33で見た、形容詞のうしろの to(副詞的用法)です。happy なのは I、共有するのも I。うれしい気持ちを感じている本人が、to の行為をしているので、ここでも意味上の主語は書きません。

happy to ~・glad to ~・sorry to ~ はどれも「自分が〜して/〜できて」。もし別の人がする行為を喜ぶなら、I’m happy for you. や I’m happy that you came. のように形を変えます。

ルール
happy to ~・glad to ~ は「自分が〜して」。
感じている人 = to の行為をする人
他の「主語がそのまま」(スクリプトより)
  • Many experts say that children need to be exposed to a language(6:26〜6:33/need to も主語の children が)
A child might want to speak … to communicate 目的の to(〜するために)をするのも文の主語 ▼
A child might want to speak the minority language to communicate with his/her grandparents
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A child might want to speak the minority language to communicate with his/her grandparents
子どもは、祖父母と話すために少数派の言語を話したがるかもしれない
出典:動画スクリプト(7:14〜7:19)

最後のアドバイスで、子どもが自分から言語を話したくなる理由を挙げる場面です。A child might want to speak the minority language to communicate with his/her grandparents

この文には to が2つあります。to speak(名詞的)も to communicate(副詞的・目的)も、どちらもする人は a child。文の主語が、2本の矢印を両方とも引き受けています。

目的の to は、とくに主語とずれやすい場所です。I called him to tell the news.(知らせを伝えるために電話した)で、伝えるのは I。「彼が伝える」にはなりません。何も書いていなければ、文の主語に戻るのが英語のルールです。

ルール
名詞的でも副詞的でも、書いていなければ文の主語。
want to speak(話すのは a child)/to communicate(伝えるのも a child)
続きのセリフ(スクリプトより)
  • or maybe to have a kind of secret language to communicate with her/his parents,(7:19〜7:25)
it’s possible to raise 誰でもいいときも書かない(一般の人) ▼
I was confident that it’s possible to raise a bilingual child
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I was confident that it’s possible to raise a bilingual child
バイリンガルの子を育てることは可能だと確信していた
出典:動画スクリプト(0:04〜0:09)

3か国語で育てると決めたときの気持ちです。I was confident that it’s possible to raise a bilingual child(バイリンガルの子を育てるのは可能だと確信していた)。

it は記事33で見た形式主語で、中身は to raise a bilingual child。では、育てるのは誰か。この父親に限った話ではなく、「誰でも/一般に」です。このように意味上の主語が一般の人のときも、何も書きません。

会話でよく聞く It’s hard to say.(なんとも言えない)や It’s nice to meet you. も同じ。特定の人を立てたいときだけ、次のセクションで見る for 人 を足します。

ルール
It’s ~ to …(意味上の主語なし)= 誰でも・一般に。
特定の人を言いたいときだけ It’s ~ for 人 to …
他の It’s ~ to(スクリプトより)
  • it’s difficult to stick with this rule outside the home.(4:26〜4:31)
  • it’s vitally important to create and nurture the desire to speak more languages.(7:36〜7:41)
セクション② 目的語が意味上の主語want him to・want your children to・want my son to・help 人 +原形(カード5〜8)
I want him to make want 人 to:to の前の人が、to の行為をする ▼
I want him to make a true connection with Italy
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I want him to make a true connection with Italy
息子には、イタリアと本当のつながりを持ってほしい
出典:動画スクリプト(2:16)

なぜイタリア語にこだわるのか、という動機を語る場面です。I want him to make a true connection with Italy(息子にイタリアと本当のつながりを持ってほしい)。

カード1の I want to share と比べてください。同じ want to でも、ここでは to の前に him が入っています。つながりを持つのは父親ではなく息子(him)。want と to のあいだに置いた人が、意味上の主語です。

矢印の絵で言えば、want の気持ちは I のもの、to の行為は him のもの。「私が欲しいのは、彼がイタリアとつながること」。日本語の「〜してほしい」にあたるのが、この want 人 to です。

比べる
I want to make ~(私が〜したい)
I want him to make ~(彼に〜してほしい)
他の want him to(スクリプトより)
  • I want him to be an Italian native speaker(2:54)
Do you want your children to be 疑問文でも、to の前の人が意味上の主語 ▼
Do you want your children to be fully bilingual or trilingual
タップして詳しく見る →
Do you want your children to be fully bilingual or trilingual,
お子さんを完全なバイリンガルやトリリンガルにしたいですか?
出典:動画スクリプト(2:30)

父親が視聴者に、まず「目標をはっきりさせよう」と問いかける場面です。Do you want your children to be fully bilingual or trilingual,(お子さんを完全なバイリンガル・トリリンガルにしたいですか)。

疑問文になっても、しくみは同じです。want の気持ちを持っているのはyou(親)、バイリンガルになるのはyour children。to の直前の your children が意味上の主語です。

すぐあとに do you want them to know some basic sentences(基本的な文を知っていればいい?)と、them に置きかえて続けます。代名詞なら目的格(him・them・me)になるのも、want 人 to の特徴です。人の位置は「want の目的語」なので、主格の they ではなく them を使います。

形
want + 人(目的格)+ to ~
want them to know(× want they to know)
続きのセリフ(スクリプトより)
  • do you want them to know some basic sentences and words in the language?(2:40)
I want my son to speak … so badly 周りに何を言われても:意味上の主語を立てると「誰の行為か」がはっきりする ▼
I want my son to speak Italian so badly that I ignore the social pressure
タップして詳しく見る →
I want my son to speak Italian so badly that I ignore the social pressure
息子にイタリア語を話してほしいという気持ちが強すぎて、周りの目は気にしない
出典:動画スクリプト(4:45)

フランスで外国語を話すと嫌な顔をされることもある、という話のあとです。I want my son to speak Italian so badly that I ignore the social pressure(息子にイタリア語を話してほしくてたまらないから、周りの圧力は無視する)。

話すのはmy son、それを強く望むのはI。so badly(ものすごく)がかかっているのは want、つまり父親の気持ちの強さです。意味上の主語を立てると、気持ちの持ち主と、行為をする人がきれいに分かれます。

もし I want to speak Italian so badly なら「自分がイタリア語を話したくてたまらない」になってしまいます。人を1つ入れるかどうかで、話の主役が入れ替わる。これが意味上の主語の働きです。

読み方
I want / my son to speak Italian
気持ちは I、行為は my son。so badly は気持ちの強さ
まぎらわしい to(スクリプトより)
  • In the book, Beck explains how much effort he made to expose his children to the English language(6:11〜6:17/expose 人 to + 名詞は前置詞の to)
helping your child make help 人 + 原形:to がなくても、人が意味上の主語 ▼
The goal here is helping your child make an association between a language and a parent
タップして詳しく見る →
The goal here is helping your child make an association between a language and a parent.
ここでの狙いは、子どもが言語と親を結びつけられるように手助けすることです。
出典:動画スクリプト(3:29〜3:34)

「父はイタリア語、母はルーマニア語」と、親ごとに言語を分ける方法(OPOL)の説明です。The goal here is helping your child make an association between a language and a parent.

helping your child make には to がありません。help は help 人 to ~ とも help 人 + 原形 とも言え、会話では to を落とすほうが多い動詞です。それでも、結びつけるのは your child。意味上の主語のしくみは変わりません。

let・make・have(〜させる)は、いつも to なしの原形です。let him speak(彼に話させる)でも、話すのは him。動詞の直後の人が、うしろの行為をするという並び方は、to があってもなくても同じです。

形
help 人 (to) ~/let 人 ~/make 人 ~
to がなくても、人が意味上の主語
他の「人 + 原形」(スクリプトより)
  • make you doubt yourself(5:00〜5:04/make 人 + 原形)
セクション③ for 人・of 人too much for him to・It’s important for 人 to・It’s kind of you to(カード9〜11)
too much for him to handle for 人 to:to の直前に「誰が」を立てる ▼
introducing three languages would be too much for him to handle
タップして詳しく見る →
introducing three languages from the very beginning of his life would be too much for him to handle.
生まれたときから3つの言語を与えるのは、彼には負担が大きすぎるのではないか
出典:動画スクリプト(0:09〜0:14)

3か国語で育てると決めたとき、父親と妻が抱いていた不安です。my wife and I were afraid that introducing three languages … would be too much for him to handle.

to handle(受けとめる)をするのは誰か。文の主語は introducing three languages(3言語を与えること)なので、そのままでは意味が通りません。そこで for him を to の直前に置いて、「受けとめるのは息子」と立てています。これが for 人 to です。

want 人 to のように動詞が人を受けとめられない場面(too much・easy・important・time など)では、for で人を連れてくるしかありません。記事22で見た for の「向ける」矢印が、to の行為をする人を指しています。

形
too ~ for 人 to …(人が…するには〜すぎる)
It’s ~ for 人 to …(人が…するのは〜だ)
まぎらわしい for(スクリプトより)
  • To make the process easier for both you, your partner, and your child,(1:52〜1:56/for は「〜にとって」)
It’s important for children to hear It’s ~ for 人 to:会話でいちばん使う意味上の主語 ▼
It’s important for children to hear the language every day
タップして詳しく見る →
It’s important for children to hear the language every day.
子どもがその言語を毎日聞くことが大切だ。
※動画には登場しない参考例(動画の場面を借りた作例)

動画の 6:26〜6:33 で、父親は専門家の意見として children need to be exposed to a language at least 20% of their waking time(起きている時間の20%以上、言語にふれる必要がある)と紹介しています。その内容を、It’s ~ for 人 to の形で言いかえたのがこの参考例です。

カード4の it’s possible to raise a bilingual child は「誰でも」でした。ここでは for children を足して、「聞くのは子ども」と立てています。It’s important to hear だけだと、誰が聞くのかがぼやけます。

It’s easy for me to ~/It’s hard for Japanese people to ~ のように、自分や特定の人にとっての難しさ・大切さを言うときに、会話でいちばんよく使う形です。

比べる
It’s important to hear.(誰でも・一般に)
It’s important for children to hear.(聞くのは子ども)
参考例(※動画には登場しない)
  • It’s important for children to hear the language every day.(参考例)
  • It’s hard for me to speak English in front of others.(参考例)
It’s kind of you to of 人 to:人の性格をほめる・とがめるとき ▼
It’s so kind of you to share your experience
タップして詳しく見る →
It’s so kind of you to share your experience.
体験を共有してくれて、本当にありがとう(親切ですね)。
※動画には登場しない参考例(動画の場面を借りた作例)

動画を見終わった視聴者が、父親にお礼を言う場面を想定した参考例です。It’s so kind of you to share your experience.

for ではなく of を使うのは、kind(親切な)が行為ではなく、その人の性格を言う形容詞だからです。You are kind.(あなたは親切だ)が成り立つ。だから「あなたの一部としての親切さ」を表す of を使います。

kind・nice・sweet・smart・silly・rude のような人柄の形容詞なら of、important・easy・hard のような行為の評価なら for。見分けは「You are ~. と言えるか」です。なお、約85本の動画を数えて、この形は1回も出てきませんでした。会話では That’s so kind of you.(to 以下を省略)の形のほうがよく聞きます。

見分け方
You are kind. と言える → of(It’s kind of you to …)
言えない → for(× You are important. の意味ではない → It’s important for you to …)
参考例(※動画には登場しない)
  • That’s so kind of you.(参考例)
  • It was silly of me to forget.(参考例)
セクション④ 望んでいるのは誰かwant your children to be … They Actually Want To(カード12/この記事の目玉)
want your children to be … They Actually Want To 同じ want to でも、望んでいるのは親か、子どもか ▼
If you really want your children to be bilingual, then Make Sure They Actually Want To
タップして詳しく見る →
If you really want your children to be bilingual, then Make Sure They Actually Want To.
子どもを本当にバイリンガルにしたいなら、子ども自身がそれを望んでいるか確かめてください。
出典:動画スクリプト(7:10)

父親が「いちばん大切」と言う最後のアドバイスです。If you really want your children to be bilingual, then Make Sure They Actually Want To.

前半の want your children to be bilingual は、親が子どもにバイリンガルになってほしいと望む形(want 人 to)。後半の They Actually Want To は、子ども自身が望む形で、want のうしろの to だけ残して be bilingual を省いています(記事32の代不定詞)。

同じ want と to なのに、to の行為へ向かう気持ちを持っているのが、前半は親、後半は子ども。意味上の主語が入れ替わることが、そのままこの動画のメッセージになっています。「親がいくら want しても、子ども本人が want しなければ続かない」。誰がその行為をするのか、誰がそれを望むのか。意味上の主語は、その2つを分けて見せる道具です。

読み方
you want / your children to be bilingual(望むのは親)
They want to (be bilingual)(望むのは子ども本人)
直後のセリフ(スクリプトより)
  • A child might want to speak the minority language(7:14)

一人プレゼンを実施してみる

まずは何も見ずに例文を自分で作って説明してみて、

うまく言えなかった項目だけ解説例を確認する、

という使い方がおすすめです。

12問あるので、1日に全部やろうとしなくて構いません。

説明するときは、必ず「to の行為をするのは誰か」「それはどこに書いてあるか(書いていない・動詞のうしろ・for・of)」を最初に言ってから理由を話してみてください。

図解の色分け(意味上の主語=ピンク、文の主語=青、for・of=紫、to=コーラル)が、そのままヒントになっています。

まずは 意味上の主語が書いていない4問です。

to の行為をするのは誰か(文の主語か、一般の人か)を最初に言ってみてください。

① I want to share、説明できますか?

例文:

Today, I want to share my experience so far
今日は、ここまでの私の体験をお話ししたいと思います

要点:

  • to share をするのは I
  • to の行為をする人 = 意味上の主語
  • 文の主語と同じなら書かない

解説例:

父親は Today, I want to share my experience so far と言っています。

to share の行為をするのは話している I で、これを意味上の主語と呼びます。

意味上の主語が文の主語と同じときは、わかりきっているので何も書きません。

to の前に人が書いていなければ、まず文の主語だと考えます。

② I’m very happy to be able to share、説明できますか?

例文:

I’m very happy to be able to share what I’ve learned about this topic
このテーマについて学んだことを共有できて、とてもうれしいです

要点:

  • happy なのも share するのも I
  • 感情の to は「自分が〜して」
  • 別の人なら that 節などに変える

解説例:

父親は I’m very happy to be able to share what I’ve learned about this topic と言っています。

うれしいのは I で、共有するのも I。感じている本人が to の行為をするので、意味上の主語は書きません。

happy to や glad to は、いつも「自分が〜して」の意味になります。

別の人がしたことを喜ぶなら、I’m happy that you came. のように形を変えます。

③ A child might want to speak … to communicate、説明できますか?

例文:

A child might want to speak the minority language to communicate with his/her grandparents
子どもは、祖父母と話すために少数派の言語を話したがるかもしれない

要点:

  • to speak も to communicate も a child がする
  • 目的の to も文の主語に戻る
  • 1つの主語が2本の矢印を引き受ける

解説例:

父親は A child might want to speak the minority language to communicate with his/her grandparents と言っています。

to speak も to communicate も、する人は文の主語の a child です。

目的を表す to でも、前に人が書いていなければ文の主語に戻ります。

1つの主語が、2本の to の矢印を両方とも引き受けているわけです。

④ it’s possible to raise、説明できますか?

例文:

I was confident that it’s possible to raise a bilingual child
バイリンガルの子を育てることは可能だと確信していた

要点:

  • it = to raise a bilingual child
  • 育てるのは「誰でも」
  • 一般の人も書かない

解説例:

父親は I was confident that it’s possible to raise a bilingual child と言っています。

to raise をするのはこの父親に限らず「誰でも」なので、意味上の主語は書きません。

It’s hard to say. や It’s nice to meet you. も同じ形です。

特定の人を立てたいときだけ、for 人 を足します。

次は 目的語が意味上の主語になる4問です。

気持ちの持ち主と、to の行為をする人を分けて言ってみてください。

⑤ I want him to make、説明できますか?

例文:

I want him to make a true connection with Italy
息子には、イタリアと本当のつながりを持ってほしい

要点:

  • to make をするのは him
  • want と to のあいだの人 = 意味上の主語
  • want 人 to = 人に〜してほしい

解説例:

父親は I want him to make a true connection with Italy と言っています。

want と to のあいだに him が入っているので、つながりを持つのは父親ではなく息子です。

I want to make なら「私がしたい」、I want him to make なら「彼にしてほしい」。

want の気持ちは I のもの、to の行為は him のもの、と分けて考えます。

⑥ Do you want your children to be、説明できますか?

例文:

Do you want your children to be fully bilingual or trilingual,
お子さんを完全なバイリンガルやトリリンガルにしたいですか?

要点:

  • want しているのは you、bilingual になるのは your children
  • to の直前の人 = 意味上の主語
  • 代名詞なら目的格(them)

解説例:

父親は Do you want your children to be fully bilingual or trilingual と言っています。

望んでいるのは you、バイリンガルになるのは to の直前の your children です。

すぐあとで do you want them to know と、代名詞の them に置きかえています。

人の位置は want の目的語なので、主格の they ではなく目的格の them を使います。

⑦ I want my son to speak … so badly、説明できますか?

例文:

I want my son to speak Italian so badly that I ignore the social pressure
息子にイタリア語を話してほしいという気持ちが強すぎて、周りの目は気にしない

要点:

  • 話すのは my son、望むのは I
  • so badly は want の強さ
  • 人を入れると話の主役が入れ替わる

解説例:

父親は I want my son to speak Italian so badly that I ignore the social pressure と言っています。

イタリア語を話すのは my son、それを強く望んでいるのは I です。

so badly は、父親の気持ちの強さを表しています。

I want to speak なら自分が話したい、になるので、人を1つ入れるかどうかで主役が入れ替わります。

⑧ helping your child make、説明できますか?

例文:

The goal here is helping your child make an association between a language and a parent.
ここでの狙いは、子どもが言語と親を結びつけられるように手助けすることです。

要点:

  • 結びつけるのは your child
  • help は to を落としてもよい
  • let・make は必ず原形

解説例:

父親は The goal here is helping your child make an association between a language and a parent. と言っています。

helping your child make には to がありませんが、結びつけるのは your child です。

help は to があってもなくてもよく、会話では落とすことが多い動詞です。

let や make も、動詞の直後の人がうしろの行為をする、同じ並び方です。

続いて for 人・of 人の3問です。

なぜ for(または of)で人を立てるのかを説明してみてください。

⑨ too much for him to handle、説明できますか?

例文:

introducing three languages from the very beginning of his life would be too much for him to handle.
生まれたときから3つの言語を与えるのは、彼には負担が大きすぎるのではないか

要点:

  • to handle をするのは him
  • 文の主語と違うので for him で立てる
  • too ~ for 人 to …

解説例:

父親は introducing three languages from the very beginning of his life would be too much for him to handle. と言っています。

受けとめるのは文の主語ではなく息子なので、to の直前に for him を置いています。

too much や easy のように、人を目的語にとれない語のあとでは for で人を連れてきます。

このスクリプトで for 人 to が出てくるのはここだけです。

⑩ It’s important for children to hear、説明できますか?

例文:

It’s important for children to hear the language every day.
子どもがその言語を毎日聞くことが大切だ。(※動画には登場しない参考例)

要点:

  • to hear をするのは children
  • for 人 を足すと「誰が」が立つ
  • It’s ~ for 人 to … は会話の定番

解説例:

これは動画の場面を借りた参考例です。

It’s important for children to hear the language every day.

for children を to の直前に置いて、聞くのは子どもだと立てています。

for がなければ「誰でも」の意味になり、誰が聞くのかがぼやけます。

⑪ It’s kind of you to、説明できますか?

例文:

It’s so kind of you to share your experience.
体験を共有してくれて、本当にありがとう(親切ですね)。(※動画には登場しない参考例)

要点:

  • kind は人の性格 → of
  • You are kind. と言えるかで見分ける
  • important・easy は for

解説例:

これは動画を見た人がお礼を言う場面を想定した参考例です。

It’s so kind of you to share your experience.

kind は行為ではなくその人の性格を言う形容詞なので、for ではなく of を使います。

You are kind. と言えるなら of、言えないなら for、と見分けます。

最後は、この記事の目玉です。

前半と後半で、望んでいる人がどう入れ替わるかを説明してみてください。

⑫ want your children to be … They Actually Want To、説明できますか?

例文:

If you really want your children to be bilingual, then Make Sure They Actually Want To.
子どもを本当にバイリンガルにしたいなら、子ども自身がそれを望んでいるか確かめてください。

要点:

  • 前半:望むのは親、bilingual になるのは children
  • 後半:望むのも、なるのも they(子ども)
  • 意味上の主語の入れ替わりが動画のメッセージ

解説例:

これがこの記事の目玉です。

父親は If you really want your children to be bilingual, then Make Sure They Actually Want To. と言っています。

前半は親が子どもに望む want 人 to、後半は子ども自身が望む want to で、望んでいる人が入れ替わっています。

後半の to のうしろには、くり返しになる be bilingual が省かれています。

ここまで言えたら、次は人に向けて

一人で言えた例文は、相手がいると急に出てこなくなります。

文法が身につくのは、通じた/通じなかったを自分の耳で確かめた瞬間です。

意味上の主語は、自分がしたいことと相手にしてほしいことを言い分けるときに必ず出てくる文法です。

まずは量をこなせる環境で、I want you to ~. や It’s hard for me to ~. や It’s so kind of you to ~. を、実際のレッスンで使ってみてください。

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今日の表現をAnkiで復習しよう

記事に出てきた動画の表現を、そのままAnkiに取り込めるようにまとめました。

今回は新しい動画なので、12表現すべて新規です。

テーマは「バイリンガル育児を語る英語12表現」です。

make the firm decision to ~(〜すると固く決める)から stick to ~(〜を貫く)まで、動画の順番どおりに並べてあります。

too much for ~ to handle(〜には手に負えない)のように、意味上の主語を使った決まり文句も入れてあります。

知らなかった表現を追加・編集して、自分専用のカードを作ってみてください。

知らなかった表現を追加・編集して、そのままAnkiに取り込めます。

表現発音記号意味動画の例文シンプル例文
プリセット(最初から入っている表現)
カードの表:表現のみ / 裏:発音記号 → 意味 → 📺動画の例文 → 💬シンプル例文
Ankiへの取り込み方
  1. PC・Android(AnkiDroid含む):「💻 PC・Android用」ボタンで anki_import.txt をダウンロードし、Ankiのファイル → インポートから取り込む(区切り文字はTabを選択)
  2. iPhone(AnkiMobile):「📱 iPhone用」ボタンで anki_import.apkg をダウンロードし、AirDropやFilesアプリでiPhoneに送って、AnkiMobileの設定(歯車) → Import File から開く

まとめ:不定詞の意味上の主語を再確認しよう

さて、今回は「to の行為をするのは誰か。書いていなければ文の主語、違う人なら to の直前に置く」というテーマで、12の顔を見てきました。

書いていない意味上の主語と、目的語が意味上の主語になる形
  • I want to share ― 書いていなければ文の主語
  • I’m very happy to be able to share ― 感じている本人が to の行為をする
  • A child might want to speak … to communicate ― 目的の to も文の主語
  • it’s possible to raise a bilingual child ― 一般の人も書かない
  • I want him to make ― to の前の人が to の行為をする
  • Do you want your children to be ― 代名詞なら目的格(them)
  • I want my son to speak … so badly ― 気持ちは I、行為は my son
  • helping your child make ― to がなくても人が意味上の主語
for 人・of 人、そして目玉
  • too much for him to handle ― for で「誰が」を立てる
  • It’s important for children to hear ― It’s ~ for 人 to(参考例)
  • It’s kind of you to share ― 人柄の形容詞は of(参考例)
  • want your children to be … They Actually Want To ― 望む人が入れ替わる

意味上の主語と聞くと for と of の選択問題を思い出しますが、やっていることは「to の行為をする人を、to の直前に置く(同じ人なら置かない)」の1つだけです。

書いていなければ文の主語。違う人なら to の直前。

今日の12のうち、まずおすすめしたいのは⑤の want 人 to です。

次に英会話で講師にお願いをするとき、I want to ~ ではなく I want you to ~ と言ってみてください。たとえば I want you to correct my mistakes.(間違いを直してほしい)。to の前に you を1つ置くだけで「私がしたい」が「あなたにしてほしい」に変わる感覚がつかめれば、意味上の主語が「for と of の暗記」から「誰の行為かを示す道具」に変わります。

もし今日の内容で「なるほど」と思った部分があれば、ぜひコメントで教えてください。

これで⑪ to 不定詞のパートは完結です。次回は⑫過去分詞形の1本目、「受動態の基本イメージ」を予定しています。

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40代の子育てサラリーマン。 みんなが苦手な家計管理、筋トレ、 英語にチャレンジしてます。 ・英語学習歴 2019年 日本企業から外資系企業に転職 想定TOEICスコア200〜300点 コーチングスクールに半年通う 2020年 TOEIC700点超え →独学・オンライン英会話開始 2021年 TOEIC800点の壁をこえられず 2022年 一から基礎(発音・文法・単語)をやり直す 2023年 TOEIC910点達成 2024年 別の外資系企業に転職