英語イマージョン学習|Youtubeで英文法#12【比較級】
- イマージョンで比較級(-er / more)を理解する
- イマージョン学習で英文法を学ぶ前の確認事項
- 比較級とは何か ― 目盛りをずらして差をつくる
- イマージョンで学ぶ【比較級】16の形
- 一人プレゼンを実施してみる
- ① -er / more、説明できますか?
- ② than、説明できますか?
- ③ than の省略、説明できますか?
- ④ not / no + 比較級、説明できますか?
- ⑤ much / a bit、説明できますか?
- ⑥ 数字 + 比較級、説明できますか?
- ⑦ more / less、説明できますか?
- ⑧ 比較級 and 比較級、説明できますか?
- ⑨ the 比較級, the 比較級、説明できますか?
- ⑩ all the / none the、説明できますか?
- ⑪ the + 比較級(2者)、説明できますか?
- ⑫ superior / prefer、説明できますか?
- ⑬ than any other、説明できますか?
- ⑭ more A than B、説明できますか?
- ⑮ no more / no less than、説明できますか?
- ⑯ know better than、説明できますか?
- 今日の表現をAnkiで復習しよう
- まとめ:比較級の16の形を再確認しよう
- さらに英語学習を進めたい方へ
イマージョンで比較級(-er / more)を理解する

our bags are a bit heavier
「カバンが少し重くなった」。
スウェーデンの高校生が、教科書が戻ってきた学校のことをこう話しています。
この文、than がありません。
それでも「前より重い」と、ちゃんと伝わっていますよね。
実は今回教材にする11分の動画、比較級は10回以上出てくるのに、than は一度も出てきません。
「比較級といえば than」と覚えていると、この事実にうまく説明がつかないはずです。
僕自身、TOEIC300点からのスタートでした。
オンライン英会話を7年続けて910点まで来ましたが、
比較級はずっと「-er + than の公式」として暗記していた項目でした。
でも実際の英語を聞くようになって、順序が逆だと気づきました。
比較級は「目盛りをずらして差をつくる」装置。than はその相手を言うためのオプション
読み終えるころには、than のない比較級を見ても、何と比べているのかが自分で補えるようになっているはずです。
公式をいくつも覚えるのではなく、目盛りをずらすという1つのイメージを手に入れる、という感覚です。
イマージョン学習で英文法を学ぶ前の確認事項

動画紹介
今回教材にするのは、前回の原級編と同じ BBC World Service のポッドキャスト番組です。
スウェーデンが学校からスクリーンを減らし、紙の教科書に戻そうとしている——その是非を追いかける11分。
比較級を学ぶのに、これ以上の教材はなかなかありません。
「紙と画面はどちらが良いのか」を11分間ずっと比べ続ける内容だからです。
しかも話し手が司会・記者・生徒・教師と入れ替わるので、
同じ比較級でも、丁寧な言い方とくだけた会話の言い方を1本で聞き比べられます。
学習の進め方
文法の知識を実際に使いこなすには、
その言葉が使われる場面や気持ちごと覚えるのが近道です。
だからこそ今回は、動画の生きたセリフを教材にして、「比較級」の視点を見ていきます。
読み方は、目的に合わせて選んでみてください。
英語を楽しみながら勉強したい方は、このまま記事を読み進めてください。
動画のセリフをたどりながら、
「比較級」の感覚を少しずつ自分のものにしていけます。
逆に、効率的に英文法だけを押さえたい方は、要点だけをまとめた別記事へどうぞ。
比較級とは何か ― 目盛りをずらして差をつくる

比較には、原級・比較級・最上級の3つがあると習います。
前回の原級編でも書いたとおり、この3つはやっていることが全部同じです。
2つ以上のものを、1本の目盛りの上に並べているだけなんです。
違うのは、並べた結果をどう報告するかだけ。
同じ位置なら原級、上か下かを言うなら比較級、いちばん上だと言うなら最上級です。
今回の比較級は、この真ん中を担当します。
原級が「同じ目盛りに乗るかどうか」を確かめる形だったのに対して、
比較級は最初から目盛りをずらしてしまう形です。
だから形容詞・副詞そのものが heavy から heavier へと姿を変えます。
語形が変わること自体が「差がある」という宣言なんですね。
そのうえで、ずらした先の相手を示したければ than を足す。
順番はあくまで「差が先、相手は後」です。
前回の原級編をまだ読んでいない方は、先にこちらを読むと今回の話がつながりやすくなります。
イマージョンで学ぶ【比較級】16の形

ここからは、比較級が持つ16の形を1つずつ見ていきましょう。
前半7つは動画のセリフそのまま、後半9つは形が決まっている言い方です。
① 比較級の骨組み(動画のセリフで学ぶ)
- -er / more ― 形を変えて「差」をつくる
- than ― 比べる相手を than で言い切る
- than の省略 ― 比べる相手を言わない比較級
- not / no + 比較級 ― 否定の強さが変わる
- much / a bit ― 差の大きさまで伝える
- 数字 + 比較級 ― 差を数字で言い切る
- more / less ― 「量」そのものを比べる
② くり返しと the
- 比較級 and 比較級 ― くり返して「ますます〜」
- the 比較級, the 比較級 ― 〜すればするほど…
- all the / none the ― 理由があるぶん、なおさら
- the + 比較級(2者)― 2つのうちなら the がつく
③ than にクセがある形
- superior / prefer ― than を使わない比較級
- than any other ― 比較級で最上級を言う(単数注意)
- more A than B ― 「BというよりA」と性質を比べる
- no more / no less than ― 数量に気持ちを乗せる
- know better than ― than が隠れた決まり文句
②と③の9つは決まり文句なので、今回の動画には登場しません。
例文は一般的な参考例です。
原級編で見た「2つ目の as は省略されることがある」という感覚は、
比較級でもそのまま効きます。
以下のカードをタップすると、それぞれの形を実際の例文つきで詳しく確認できます。
カードをタップすると詳しい説明が開きます
つまり比較級の本体は than ではなく、形を変えて「目盛りをずらす」ことのほうなんです。ずらす道具が -er / more、相手を明示するオプションが than。ずれ幅は much / a bit や数字で足し、否定するときは not と no を使い分ける。ここまでが骨組み(カード1〜7)です。
そのうえで英語には、the がついたり、than が to に化けたり、than の後ろに to不定詞が来たりする形の決まった比較級(カード8〜16)があります。これらは丸ごと覚えるしかない一方、骨組みが分かっていると「なぜその形なのか」が見えて、記憶に残りやすくなります。
比較級の仕事は1つだけです。形容詞や副詞の形そのものを変えて、「差」を作り出す。heavy が heavier になった瞬間に、「他より重い」という情報が生まれています。
前回の原級と並べると、違いがはっきりします。as … as が2つを同じ目盛りに乗せる形だったのに対して、比較級は目盛りをずらす形です。同じかどうかではなく、どちらが上かを言うための道具なんですね。
作り方は-er をつけるか more を前に置くかの2択です。短い語は -er、長い語は more。この文の heavy は2音節ですが、-y で終わる語なので heavier になります。同じ動画の more effective が more を選ぶのは、effective が3音節だからです。
- 1音節:-er をつける(long → longer、hard → harder)
- -y で終わる2音節:y を i に変えて -er(heavy → heavier、easy → easier)
- 3音節以上:more を前に置く(effective → more effective、flexible → more flexible)
- 短母音+子音1つで終わる語:子音を重ねる(big → bigger、hot → hotter)
- 不規則:形ごと変わる(good/well → better、bad → worse、much/many → more、little → less)
※ big → bigger、hot → hotter、bad → worse は変化のルールを示すための一般的な参考例です(この動画には登場しません)。
どちらか一方だけで比較級は完成しています。more heavier のように両方つけるのは誤りなので、そこだけ注意してください。
- but technology makes learning more effective and makes it more flexible and interactive(テクノロジーは学習をより効果的に、より柔軟にする)
- I’ve noticed them kind of lose focus easier(彼らが集中力を失いやすくなっているのに気づいた)
- reading on screens can make it harder to process and remember information(画面で読むと、処理も記憶も難しくなりうる)
- how AI is making it harder for grads to get entry level jobs(AIが新卒の就職を難しくしている件)
比較級が作った差には、当然「何と比べて?」という疑問がついてきます。それに答えるのが than です。than の後ろに、比べる相手をそのまま置く。それだけの語です。
原級を思い出すと、役割がすっきり整理できます。as … as には as が2つあり、1つ目が「どれくらい」、2つ目が「何と比べて」でした。比較級ではその1つ目の as の仕事を -er / more が引き受け、2つ目の as の仕事を than が引き受けます。形は変わっても、担当している仕事は同じなんですね。
ここで大事なのが、than は接続詞だということです。だから後ろには名詞1語でも、they were last year のような文のカタマリでも置けます。ただし例外もあって、the same のときは as、superior のときは to を使います(カード⑫)。
あれば比べる相手がそこに書いてあります。なければ「文脈から補う」——それがカード③の話につながります。
- Our bags are heavier than they were last year.(カバンは去年より重い)
- Paper books work better than screens for me.(紙の本のほうが自分には合っている)
- Estonia is investing more heavily than Sweden in digital textbooks.(エストニアはスウェーデンよりデジタル教科書に投資している)
- Reading on a screen is harder than reading on paper.(画面で読むほうが紙より難しい)
この文には than がありません。それでも比較は成立しています。「(以前と比べて)より多く聞くようになった」と、比べる相手が文脈に溶けているからです。
ここで、この記事でいちばん驚いてほしい事実をお伝えします。今回教材にした11分の動画に、比較級は10回以上出てきます。ところが——than は、ただの一度も出てきません。これは偶然ではなく、話し言葉ではむしろこちらが普通なんです。
理由は単純で、会話では比べる相手が分かりきっているからです。「前より」「他の国より」をいちいち言う必要がない。原級で2つ目の as が省略されたのとまったく同じことが、比較級でも起きているわけです。この省略は決まり文句にまで進んでいて、その到達点がknow better(カード⑯)です。
たいていは「以前と比べて」か「他と比べて」が隠れています。読むときは、その相手を自分で補って意味を確定させます。
- I would say in the last couple of months, we’ve heard more from the government on this(ここ数か月、政府の発言をより多く聞くようになった)
- How these tools can help teachers understand better how students are performing(生徒の学習状況を教師がよりよく理解できるよう助ける)
- if this measure is introduced more widely(この措置がより広く導入されたら)
- So will this plan get students reading more?(この計画は生徒の読書量を増やすだろうか)
比較級の否定には not と no の2通りがあり、意味がまったく違います。この文の no longer は「もう〜ない」。longer(もっと長く)を no が打ち消して、続いていたものがここで終わったことを表しています。
違いは打ち消し方の強さです。not + 比較級は「〜より上ではない」と言うだけで、同じ可能性も下の可能性も残します。一方 no + 比較級は「差はゼロだ」と言い切るので、比べた2つが同じところまで引き下げられます。
具体的に見ると、He is not taller than me. は「彼は私より背が高くはない」。He is no taller than me. は「彼は私と同じで背が低い」。no のほうには「どちらも大したことない」という話し手の評価まで乗ります。この感覚は、そのまま no more than(カード⑮)に続きます。
- not + 比較級:単なる否定。「〜より上ではない」(同じか下かまでは決めない)
- no + 比較級:差がゼロ。「〜と同じくらい…ない」と言い切る
- no longer:時間の目盛りで差がゼロ=「もう〜ない」
- not any + 比較級:no + 比較級 とほぼ同じ意味(It’s not any better.)
- 覚え方:no は話し手の気持ちが乗る、not は事実を否定するだけ
※ He is not/no taller than me.、It’s not any better. は違いを示すための一般的な参考例です(この動画には登場しません)。
not は事実を否定するだけ、no は「差なんてない」と言い切る強い否定です。原級の not as … as(〜ほど…ない)は必ず下向き、という前回の話とも地続きです。
- And by changing some of the laws so it’s no longer compulsory to use tablets in preschools(法律を変えて、幼稚園でタブレットを使う義務をなくした)
- their reading skills aren’t as good as they used to be(読解力は以前ほど良くない)※原級の否定
- going back to analogue tools in schools might not be the best approach(アナログに戻すのが最善とは限らない)
- In fact, that’s now actively discouraged.(実際、今では積極的に推奨されていない)
比較級は「上か下か」は伝えますが、その差がどれくらい大きいかまでは伝えません。そこを埋めるのが、比較級の前に置く差の大きさを表す語です。ここでは much longer で「はるかに長く」と、差の大きさまで言い切っています。
押さえるべき組み合わせは2方向です。差を大きく見せたいなら much / far / a lot。差を小さく見せたいなら a bit / a little / slightly。この動画には、両方きれいに出てきます。
そして絶対に外せない注意点が1つ。very は比較級を強められません。× very longer とは言えず、much longer / far longer が正解です。very が組めるのは原級(very long)だけ。原級には very、比較級には much——この対で覚えてしまうのが早道です。
- 大きい差:much / far / a lot + 比較級(much longer=はるかに長く)
- 小さい差:a bit / a little / slightly + 比較級(a bit heavier=少し重い)
- 数字で示す:two kilos heavier のように実測値を置く(カード⑥)
- 使えない語:very は比較級を強められない(× very longer / ○ much longer)
- even / still:「さらに」と積み増す(even harder=なおさら難しい)
※ even harder は使い方を示すための一般的な参考例です(この動画には登場しません)。
much / far / a lot なら差は大きい、a bit / a little なら差は小さい。話し手が差をどう見積もっているかが、この1語に出ます。
- students tend to concentrate much longer(はるかに長く集中する)
- I think it’s much more based on actual experience(実際の経験にずっと基づいていると思う)
- oh, our bags are a bit heavier(ああ、カバンが少し重いんです)
- but also perhaps get them looking at screens a bit less in class(授業中に画面を見る時間を少し減らす)
カード⑤の much / a bit は、差を感覚で伝える言い方でした。差が数字でわかっているなら、その数字をそのまま比較級の前に置きます。two kilos heavier で「2キロぶん重い」。
置き場所はmuch / a bit とまったく同じです。much heavier の much が two kilos に入れ替わっただけ。「差の大きさを表す語句は比較級の直前」という1つのルールで、両方まとめて説明がつきます。
もう1つの言い方が by です。heavier by two kilos のように後ろへ回せます。数字を扱う文章やニュースでは by のほうがよく出てきます。なお「2倍」だけは比較級ではなく原級を使い、twice as long as となる点に注意してください。
- 数字+単位+比較級:two kilos heavier / three years older / two hours longer
- 比較級+by+数字:heavier by two kilos / increased by ten percent
- 2倍は原級:twice as long as(× twice longer than)
- 3倍以上:three times as long as が基本形
- 年齢は senior でも:two years my senior=2つ年上(カード⑫)
※ この5つはいずれも一般的な参考例です(この動画に数字の比較は登場しません)。
much なら感覚、two kilos なら実測値。入る語句が変わるだけで、構造はまったく同じだと分かれば十分です。
- Our bags are two kilos heavier than last year.(カバンは去年より2キロ重い)
- Students concentrate twenty minutes longer without screens.(画面がないと20分長く集中する)
- Screen time is longer by two hours than it was.(スクリーンタイムは以前より2時間長い)
- Literacy scores fell by ten percent.(識字率のスコアが10%下がった)
ここまでの more は「more effective」のように形容詞を比較級にする道具でした。でもこの文の more は違います。more books で「より多くの本」——more 自体が「量」を表す語になっています。
正体は不規則変化です。many / much の比較級が more、little の比較級が less。good が better になるのと同じ理屈で、形ごと変わっているだけなんですね。だから more books は「many books の比較級」と考えると腑に落ちます。
同じ動画には less も出てきます。Less of screen fatigue(画面疲れがより少ない)、leave them less well prepared(準備がより不足した状態にする)。less は「少ないほう」に目盛りをずらす比較級で、more とちょうど反対向きに働きます。
- more:many(数)と much(量)どちらの比較級にもなる(more books / more time)
- less:little(量)の比較級。数えられないものに使う(less fatigue / less time)
- fewer:few(数)の比較級。数えられるものに使う(fewer books)
- 会話では:数えられるものにも less がよく使われる(less books)。書き言葉では fewer が無難
- 形容詞につく more:more effective の more は「量」ではなく比較級を作る印。働きが別物
※ more time、fewer books、less books は使い分けを示すための一般的な参考例です(この動画には登場しません)。
more books なら「より多くの本」で量の比較。more effective なら「より効果的」で、more は比較級を作っているだけです。
- We’re taking home more books now and we’re using more pens and paper(今はより多くの本を持ち帰り、ペンと紙も多く使っている)
- they can have more school libraries and school librarians(学校図書館や司書をもっと増やせる)
- Less of screen fatigue.(画面疲れがより少ない)
- could it have an adverse effect and leave them less well prepared(逆効果で、より準備不足にしてしまわないか)
同じ比較級を and でつなぐと、「ますます〜」という意味になります。more and more countries で「ますます多くの国」。1回きりの比較ではなく、差が更新され続けていることを表す形です。
作り方は型で決まっています。-er 型は語をそのまま2回くり返す(harder and harder)。more 型は more だけを2回くり返して、形容詞は最後に1回だけ置きます(more and more difficult)。× more difficult and more difficult とは言いません。
この形が伝えているのは変化そのものです。比較級はもともと2点を比べる道具ですが、and でつなぐとその2点が次々に更新されていくイメージになります。だから「増え続けている」「悪化し続けている」という文脈で強く働きます。
more and more は「もっともっと」ではなく「ますます」。1回の比較ではなく、変化が続いていることを伝える形です。
- That’s something that we are seeing in more and more countries.(ますます多くの国で見られる)※動画より
- It’s getting harder and harder to focus.(集中するのがますます難しくなっている)
- The debate is becoming more and more complicated.(議論はますます複雑になっている)
- Screens are getting cheaper and cheaper.(画面はますます安くなっている)
比較級を2つ並べて、それぞれに the をつけると「〜すればするほど…」という意味になります。前半が条件、後半が結果。この順番は入れ替えられません。
ここでの the は「その〜」という冠詞ではありません。「その分だけ」を表す副詞です。前半で「読む量が増えた分だけ」と量を決め、後半で「その分だけ速くなる」と受ける。2つの the が量の対応関係を作っています。
読むときに注意したいのが語順です。比較級のカタマリごと文の先頭に引っぱり出すので、The more books you read のように名詞まで一緒に前へ出ます。慣れるまでは「the + 比較級」でいったん区切ると、構造が見えやすくなります。
- 前半=条件、後半=結果。順番は固定で入れ替えられない
- the は「その分だけ」の副詞。冠詞の the ではない
- 比較級のカタマリごと前に出す:The more books you read, the better you write.
- be動詞は省略できる:The sooner, the better.(早ければ早いほどよい)
- 後半だけを取り出した形が all the 比較級(カード⑩)
※ この形は動画には登場しません。例文はすべて一般的な参考例(この動画には登場しません)です。
普通の比較級に the はつかないので、文頭の the が目印になります。見つけたら、コンマの前後で条件と結果に切って読みます。
- The more you read, the faster you get.(読めば読むほど速くなる)
- The sooner, the better.(早ければ早いほどよい)
- The more time they spend on screens, the harder it gets to focus.(画面を見る時間が長いほど、集中が難しくなる)
- The younger the child, the bigger the effect.(子どもが幼いほど影響は大きい)
カード⑨で見た「その分だけ」の the が、後半だけ単独で使われる形です。all the more で「その分だけ、なおさら」。all は the を強めているだけで、意味の中心は the にあります。
この形は必ず理由とセットで使われます。理由は for + 名詞、または because 節。「理由があるぶんだけ、余計に〜だ」という言い方なので、理由が書かれていない文では使えません。
反対方向に振れるのが none the + 比較級です。「その分だけ〜ということがまったくない」。He read the whole report, but he was none the wiser. なら「全部読んだのに、結局何もわからないままだった」。努力した分の見返りがゼロだと言う形です。
- all the + 比較級 + for / because …:理由があるぶん、なおさら〜だ
- none the + 比較級 + for …:〜したのに、少しも〜ならない
- none the wiser:何もわからないまま(決まり文句)
- so much the better:それならなおさら結構だ
- all / none を取っても意味は通じる(I like it the better for it.)
※ この形は動画には登場しません。例文はすべて一般的な参考例(この動画には登場しません)です。
for や because がそばにあれば all the 比較級 で、「なおさら」と訳せば意味が通ります。none the なら逆に「少しも〜ない」です。
- I like paper books all the more for their simplicity.(シンプルなぶん、なおさら好きだ)
- She works all the harder because she believes in it.(信じているぶん、なおさら熱心に働く)
- He read the whole report, but he was none the wiser.(全部読んだのに何もわからなかった)
- If they cut screen time, so much the better.(画面の時間を減らすなら、なおさら結構だ)
比較級には、ふつう the をつけません。ところが比べる対象が2つに限られているときだけは、比較級に the がつきます。the better of the two で「2つのうちで良いほう」。
理由は「どちらか一方に決まる」からです。3つ以上なら「いちばん」を選ぶのは最上級 the best の仕事ですが、2つしかないなら勝者は自動的に1つに決まります。決まったものを指すから the——ふつうの冠詞の the とまったく同じ理屈です。
目印は of the two です。省略されることもありますが、文脈に「2つ」が示されていれば同じ形が使えます。Which is the better? のように疑問文でも使えます。なお、前者・後者を表す the former / the latter も2者限定の言い方で、同じ発想の仲間です。
- the + 比較級 + of the two:2つのうちで〜なほう
- 3つ以上なら最上級:the best of the three
- the former / the latter:前者・後者(これも2者限定)
- 疑問文でも使える:Which is the better of the two?
- ふつうの比較級には the をつけない(× He is the taller than me.)
※ この形は動画には登場しません。例文はすべて一般的な参考例(この動画には登場しません)です。
of the two が書いてあれば確定です。書かれていなくても、文脈で2つに限られていれば同じ形になります。
- Paper is the better of the two for deep reading.(深く読むには2つのうち紙のほうがよい)
- Which is the better, a tablet or a textbook?(タブレットと教科書、どちらがよいですか)
- Sweden and Estonia took different paths; the latter chose AI.(後者はAIを選んだ)
- He is the taller of the two brothers.(彼は2人兄弟のうち背が高いほうだ)
superior は「より優れた」という意味で、語そのものが比較級の意味を持っています。-er も more もついていないのに比較級として働く。ラテン語からその形のまま英語に入ってきた語だからです。
最大の注意点は相手を than で示さないことです。superior to と、to を使います。× superior than screens とは言いません。もともと比較級として作られた語ではないので、than という相方を連れてこないわけです。
同じ仲間が inferior(劣った)、senior / junior(年上・年下)、prior(前の)。動詞では prefer A to B(BよりAを好む)が同じ理屈です。-or で終わる比較の語は to——このセットで覚えると迷いません。
- superior to / inferior to:〜より優れている・劣っている
- senior to / junior to:〜より年上・年下(two years my senior の形も)
- prior to:〜より前に
- prefer A to B:BよりAを好む(動詞だが同じ理屈)
- major / minor:比較の意味が薄れて、ふつうの形容詞になった語
※ この形は動画には登場しません。例文はすべて一般的な参考例(この動画には登場しません)です。
superior / inferior / senior / junior / prior。動詞の prefer も同じ仲間で、prefer A to B です。
- Paper books are superior to screens for deep reading.(深く読むには紙のほうが優れている)
- The old system was inferior to the new one.(旧システムは新しいものより劣っていた)
- She is two years my senior.(彼女は私より2つ年上だ)
- Most teachers prefer paper to tablets for exams.(試験にはタブレットより紙を好む先生が多い)
比較級なのに、意味はほとんど最上級になる形です。「ほかのどの国よりも速い」=「いちばん速い」。最上級を使わずに最上級の内容を言う言い方として、英語ではとてもよく使われます。
いちばん間違えやすいのが名詞の数です。any other の後ろは必ず単数。× than any other countries とは言えません。any は「どれでもいいから1つ」を指す語なので、1つずつ取り出して比べているイメージだからです。
もう1つの分かれ目が other が要るかどうか。Sweden は Europe の一員なので、自分を除くための other が必要です。別のグループと比べるなら other は要らず、faster than any country in Asia となります。人が相手なら than anyone else です。
- any other + 単数名詞(× than any other countries)
- 自分が同じグループに属するときは other が必要
- 別のグループと比べるときは other 不要:than any country in Asia
- 人なら than anyone else
- 否定でも言い換えられる:No other country moved faster than Sweden.
※ この形は動画には登場しません。例文はすべて一般的な参考例(この動画には登場しません)です。
そして意味は「いちばん〜」と最上級で取ります。自分が同じグループにいるかどうかで、other の要否が決まります。
- Sweden moved faster than any other country in Europe.(ヨーロッパのどの国より速く動いた)
- No other country invested more in tablets.(タブレットにこれ以上投資した国はない)
- She reads more than anyone else in her class.(クラスの誰よりもよく読む)
- Estonia spends more on AI than any country in the region.(この地域のどの国よりAIに投資している)
ここまでの比較級は2つのものを比べる形でした。この形は違います。1つのものが持つ2つの性質を比べるのです。「この問題」という1つの対象について、文化的な面と技術的な面のどちらが強いかを言っています。
だから訳は「より文化的」ではなく「技術的というより文化的」。than の後ろが比較の相手ではなく、否定される側になります。ここを取り違えると、意味が逆に見えてしまいます。
形の上でも大事なルールがあります。この形では短い語でも必ず more を使います。He is more lucky than clever.(賢いというより運がいい)が正しく、× luckier than clever とは言えません。more が「どちらかといえば」の印になっているからです。
- 比べているのは2つのものではなく1つのものが持つ2つの性質
- 訳は「BというよりA」。than の後ろが否定される側
- 短い語でも必ず more(× luckier than clever / ○ more lucky than clever)
- rather than でも同じ意味を出せる:cultural rather than technical
- 原級の not so much A as B(AというよりむしろB)も同じ発想(前回の記事)
※ この形は動画には登場しません。例文はすべて一般的な参考例(この動画には登場しません)です。
なっていれば「BというよりA」。短い形容詞なのに more がついているのも、この形の強い目印です。
- The problem is more cultural than technical.(技術的というより文化的だ)
- He is more lucky than clever.(賢いというより運がいい)
- This is more a habit than a choice.(選択というより習慣だ)
- The change was political rather than educational.(教育的というより政治的な変更だった)
カード④で見た「no は差がゼロだと言い切る」が、そのまま数量に使われた形です。no more than ten は「10より多い、ということはまったくない」=「たった10しかない」。少ないという話し手の評価が入ります。
反対が no less than。「10より少ない、ということはまったくない」=「10も」。同じ10という数字でも、少ないと思っているか多いと思っているかで語が入れ替わります。
ここで効いてくるのが not との違いです。not more than は「多くても10」、not less than は「少なくとも10」で、こちらは評価が入らない、ただの事実です。no は気持ち、not は事実——カード④とまったく同じ対立が、数量にもそのまま現れています。
- no more than 10=たった10しか(=only)。少ないという評価が入る
- no less than 10=10も(=as much as)。多いという評価が入る
- not more than 10=多くても10(=at most)。事実だけ
- not less than 10=少なくとも10(=at least)。事実だけ
- 覚え方:no は気持ち、not は事実(カード④とまったく同じ)
※ この形は動画には登場しません。例文はすべて一般的な参考例(この動画には登場しません)です。
no なら話し手の評価が入っているので「たった」「〜も」と訳します。not なら評価は入らないので「多くても」「少なくとも」と、事実だけを訳せば十分です。
- The school has no more than ten tablets.(タブレットがたった10台しかない)
- No less than half the class lost focus.(クラスの半分もが集中を切らした)
- Students should use screens not more than two hours a day.(1日多くても2時間まで)
- The study followed not less than a thousand children.(少なくとも1000人の子どもを追跡した)
know better は直訳すると「もっとよく知っている」ですが、実際の意味は「そんなことをしないだけの分別がある」です。何と比べて better なのかが than 以下に置かれます。
特徴はthan の後ろが to不定詞だという点です。than to believe で「信じるという行動よりは、物を知っている」。than の後ろに名詞でも節でもなく to do が来る、めずらしい形なので、カタマリごと覚えてしまうのが早道です。
そして実際の会話では、than 以下ごと省略されることもよくあります。You should know better. だけで「いいかげん分かるでしょう」。これはカード③で見た than の省略と同じ現象です。決まり文句になるほど使われた結果、相手を言わなくても通じるところまで来た、というわけです。
- know better than to do:〜しないだけの分別がある
- than の後ろは to不定詞(名詞や節ではない)
- than 以下を省略できる:You should know better.(いいかげん分かるでしょう)
- should / ought to と一緒に使われることが多い
- 似た形の had better(〜したほうがよい)は比較の意味が薄れた別物
※ この形は動画には登場しません。例文はすべて一般的な参考例(この動画には登場しません)です。
「〜しないだけの分別がある」と訳せば意味が通ります。than 以下がなくても、省略されているだけだと分かれば読めます。
- You should know better than to believe everything online.(ネットの情報を鵜呑みにしない分別はあるはずだ)
- She knows better than to study with her phone next to her.(スマホを横に置いて勉強するようなことはしない)
- You should know better.(いいかげん分かるでしょう)※than 以下を省略した形
- They knew better than to ban screens overnight.(一夜で画面を禁止するような真似はしなかった)
一人プレゼンを実施してみる

まずは何も見ずに例文を自分で作って説明してみて、
うまく言えなかった項目だけ解説例を確認する、
という使い方がおすすめです。
16問あるので、1日に全部やろうとしなくて構いません。
①〜⑦の骨組みだけでも、比較級の読み書きはかなり安定します。
① -er / more、説明できますか?

例文:
our bags are a bit heavier
僕らのカバンは、少し重くなりました。
要点:
- 比較級は、形を変えて「差」を作る道具
- 原級=同じ目盛りに乗せる、比較級=目盛りをずらす
- 作り方は -er をつけるか more を前に置くかの2択(両方つけない)
解説例:
比較級がやっていることは、実はたった1つです。
形容詞や副詞の形を変えて、「差」を作り出すことです。
この文でも、heavy が heavier になった瞬間に「他より重い」という情報が生まれていますよね。
前回やった原級と並べると、違いがはっきりします。
as … as は2つを同じ目盛りに乗せる形でした。
比較級はその逆で、目盛りをずらす形なんです。
作り方は -er をつけるか、more を前に置くかの2択です。
短い語は -er、長い語は more。ここで more heavier のように両方つけないのがポイントです。
② than、説明できますか?

例文:
Our bags are heavier than they were last year.
僕らのカバンは、去年より重くなりました。(※スクリプトの言い換え例)
要点:
- than は「比べる相手」を導く語。比較級とセットで働く
- -er / more =原級の1つ目の as、than =2つ目の as にあたる
- than は接続詞なので、後ろには名詞でも文のカタマリでも置ける
解説例:
比較級で差を作ると、当然「何と比べて?」という疑問が出てきますよね。
それに答えるのが than です。
than の後ろに、比べる相手をそのまま置く。やっているのはそれだけです。
原級と並べると、役割がすっきり整理できます。
as … as では、1つ目の as が「どれくらい」、2つ目の as が「何と比べて」でした。
比較級では、1つ目の as の仕事を -er / more が、2つ目の as の仕事を than が引き受けているんです。
形は違っても、担当している仕事は同じなんですね。
そして than は接続詞なので、後ろには名詞1語でも、文のカタマリでも置けます。
③ than の省略、説明できますか?

例文:
we’ve heard more from the government on this
この件について、政府からより多くの発言を聞くようになりました。
要点:
- than 以下は、比べる相手が文脈で明らかなら省略される
- この動画は比較級が10回以上出るのに、than は一度も出てこない
- 読むときは「以前と比べて」「他と比べて」を自分で補う
解説例:
この文、よく見ると than がありません。
それでも比較はちゃんと成立しています。
「以前と比べて、より多く聞くようになった」と、比べる相手が文脈に溶けているからです。
ここで驚いてほしい事実があります。
今回の11分の動画に、比較級は10回以上出てきます。ところが than は一度も出てきません。
これは偶然ではなくて、話し言葉ではむしろこちらが普通なんです。
会話では、比べる相手が分かりきっていますからね。
だから読むときは、隠れている「以前と比べて」を自分で補って意味を確定させるのがコツです。
④ not / no + 比較級、説明できますか?

例文:
it’s no longer compulsory to use tablets
タブレットを使うことは、もう義務ではありません。
要点:
- not + 比較級=単なる否定、no + 比較級=差がゼロだと言い切る
- no longer は「もう〜ない」。時間の目盛りで差がゼロになった状態
- no のほうには話し手の評価・気持ちが乗る
解説例:
比較級の否定には not と no の2通りがあって、意味がまったく違います。
この文の no longer は「もう〜ない」ですね。
longer を no が打ち消して、続いていたものがここで終わった、と言っています。
違いは打ち消し方の強さです。
not は「〜より上ではない」と言うだけで、同じ可能性も下の可能性も残します。
でも no は「差はゼロだ」と言い切るんです。
He is not taller than me. なら「私より高くはない」。
He is no taller than me. なら「私と同じで背が低い」。no のほうには話し手の評価が乗る、これが決定的な違いです。
⑤ much / a bit、説明できますか?

例文:
students tend to concentrate much longer
生徒たちは、はるかに長く集中できる傾向があります。
要点:
- 比較級の前に置く語で、差の大きさまで伝えられる
- 大きい差は much / far / a lot、小さい差は a bit / a little
- very は比較級を強められない(○ very long / × very longer)
解説例:
比較級は「上か下か」は伝えますが、差がどれくらい大きいかまでは伝えません。
そこを埋めるのが、比較級の前に置く語です。
この文の much longer は「はるかに長く」で、差の大きさまで言い切っていますね。
覚え方は2方向でいいです。
差を大きく見せたいなら much、far、a lot。
小さく見せたいなら a bit、a little、slightly です。
そしてここが一番の注意点なんですが、very は比較級を強められません。
very longer とは言えないんです。very が使えるのは原級だけ。原級には very、比較級には much、と対で覚えてください。
⑥ 数字 + 比較級、説明できますか?

例文:
Our bags are two kilos heavier than last year.
僕らのカバンは、去年より2キロ重くなりました。(※スクリプトの言い換え例)
要点:
- 差が数字でわかるなら、その数字を比較級の直前に置く
- much / a bit と置き場所は同じ。感覚か実測値かの違いだけ
- by で後ろに回すこともできる。ただし「2倍」は原級(twice as long as)
解説例:
カード⑤の much や a bit は、差を感覚で伝える言い方でした。
差が数字でわかっているなら、その数字をそのまま比較級の前に置きます。
two kilos heavier で「2キロぶん重い」ですね。
置き場所は much や a bit とまったく同じです。
much heavier の much が two kilos に入れ替わっただけなんです。
だから「差の大きさを表す語句は比較級の直前」という1つのルールで両方説明がつきます。
もう1つ、heavier by two kilos のように by で後ろに回す言い方もあります。
ただし「2倍」だけは比較級を使わず、twice as long as と原級になる点だけ注意してください。
⑦ more / less、説明できますか?

例文:
We’re taking home more books now
今は、前より多くの本を持ち帰っています。
要点:
- more は many / much の比較級、less は little の比較級(不規則変化)
- more books の more は「量」、more effective の more は比較級を作る印
- less は「少ないほう」に目盛りをずらす、more の反対向き
解説例:
ここまで見てきた more は、more effective のように形容詞を比較級にする道具でした。
でもこの文の more は違います。
more books で「より多くの本」。more 自体が「量」を表しているんです。
正体は不規則変化です。
many と much の比較級が more、little の比較級が less。
good が better になるのと同じで、形ごと変わっているだけなんですね。
同じ動画には Less of screen fatigue という言い方も出てきます。
less は「少ないほう」に目盛りをずらす比較級で、more とちょうど反対向きに働きます。
ここからは、動画には出てこない形の決まった比較級です。
まずは「くり返しと the」の4つ。
下の一覧図解に4つまとめてあるので、これを見ながら順番に説明してみてください。

⑧ 比較級 and 比較級、説明できますか?
例文:
That’s something that we are seeing in more and more countries.
それはますます多くの国で見られる現象です。
要点:
- 同じ比較級を and でつなぐと「ますます〜」になる
- more 型は more だけを2回、形容詞は最後に1回だけ
- 1回の比較ではなく、変化が続いていることを表す
解説例:
同じ比較級を and でつなぐと、「ますます〜」という意味になります。
この文の more and more countries は「ますます多くの国」ですね。
1回きりの比較ではなく、変化が続いていることを表しています。
作り方は型で決まっていて、-er 型は語をそのまま2回くり返します。
harder and harder のような形ですね。
more 型は more だけを2回くり返して、形容詞は最後に1回だけ置きます。
more and more difficult が正しくて、more difficult and more difficult とは言いません。
「もっともっと」ではなく「ますます」と訳すと、変化が続いている感じがうまく出ます。
⑨ the 比較級, the 比較級、説明できますか?
例文:
The more you read, the faster you get.
読めば読むほど、速くなります。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- the 比較級, the 比較級 で「〜すればするほど…」
- 前半が条件、後半が結果。順番は固定
- the は冠詞ではなく「その分だけ」を表す副詞
解説例:
比較級を2つ並べて、それぞれに the をつけると「〜すればするほど…」になります。
前半が条件、後半が結果です。この順番は入れ替えられません。
ここで面白いのが、この the は冠詞じゃないということです。
「その分だけ」を表す副詞なんです。
前半で「読む量が増えた分だけ」と量を決めて、後半で「その分だけ速くなる」と受けている。
2つの the が量の対応関係を作っているわけですね。
読むときの注意点は語順です。比較級のカタマリごと文の先頭に出てきます。
普通の比較級に the はつかないので、文頭の the がこの形の目印になります。
⑩ all the / none the、説明できますか?
例文:
I like paper books all the more for their simplicity.
紙の本は、そのシンプルさゆえに、なおさら好きです。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- all the + 比較級 は「理由があるぶん、なおさら〜」
- the は「その分だけ」の副詞。all は強調しているだけ
- none the + 比較級 は逆に「少しも〜ない」
解説例:
これは、カード⑨で見た「その分だけ」の the が、後半だけ単独で使われる形です。
all the more で「その分だけ、なおさら」という意味になります。
all は the を強めているだけで、意味の中心は the のほうにあります。
大事なのは、必ず理由とセットで使われるということです。
for + 名詞、または because 節で理由が示されます。
だから理由が書かれていない文では、この形は使えません。
反対に振れるのが none the 比較級 で、「その分だけ〜ということがまったくない」。
none the wiser なら「結局何もわからないままだった」。努力した分の見返りがゼロ、という言い方ですね。
⑪ the + 比較級(2者)、説明できますか?
例文:
Paper is the better of the two for deep reading.
深く読むなら、2つのうちでは紙のほうが優れています。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- 比較級にふつう the はつかないが、2者に限られるときだけつく
- 理由は「どちらか一方に決まる」から。冠詞の the と同じ理屈
- 目印は of the two。the former / the latter も同じ仲間
解説例:
比較級には、ふつう the をつけません。
ところが比べる対象が2つに限られているときだけは the がつくんです。
the better of the two で「2つのうちで良いほう」ですね。
理由は「どちらか一方に決まるから」です。
3つ以上なら最上級 the best の出番ですが、2つしかないなら勝者は自動的に1つに決まります。
決まったものを指すから the。ふつうの冠詞の the とまったく同じ理屈なんです。
目印は of the two。省略されることもありますが、文脈に2つが示されていれば同じ形が使えます。
前者・後者を表す the former / the latter も、2者限定という点で同じ発想の仲間です。
後半は、than の使い方にクセがある5つです。
than が to に化けたり、than の後ろに to不定詞が来たりします。
こちらも一覧図解にまとめました。

⑫ superior / prefer、説明できますか?
例文:
Paper books are superior to screens for deep reading.
深く読むなら、紙の本は画面より優れています。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- superior は語そのものが比較級の意味を持つ(-er も more も不要)
- 相手は than ではなく to で示す(× superior than)
- inferior / senior / junior / prior、動詞の prefer A to B も同じ仲間
解説例:
superior は「より優れた」という意味で、語そのものが比較級の意味を持っています。
-er も more もついていないのに、比較級として働くんです。
ラテン語からその形のまま英語に入ってきた語だからですね。
最大の注意点は、相手を than で示さないということです。
superior to と、to を使います。superior than とは言いません。
もともと比較級として作られた語ではないので、than という相方を連れてこないんです。
同じ仲間が inferior、senior、junior、prior。
動詞では prefer A to B が同じ理屈です。-or で終わる比較の語は to、とセットで覚えてください。
⑬ than any other、説明できますか?
例文:
Sweden moved faster than any other country in Europe.
スウェーデンは、ヨーロッパのどの国よりも速く動きました。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- 比較級 + than any other で、意味はほぼ最上級になる
- any other の後ろは必ず単数(× any other countries)
- 自分が同じグループなら other が必要、別グループなら不要
解説例:
これは比較級なのに、意味がほとんど最上級になる形です。
「ほかのどの国よりも速い」=「いちばん速い」ということですね。
最上級を使わずに最上級の内容を言う言い方で、英語ではとてもよく使われます。
いちばん間違えやすいのが名詞の数です。
any other の後ろは必ず単数。any other countries とは言えません。
any が「どれでもいいから1つ」を指す語だからで、1つずつ取り出して比べているイメージなんです。
もう1つの分かれ目が、other が要るかどうか。
スウェーデンはヨーロッパの一員なので、自分を除くための other が必要になります。
⑭ more A than B、説明できますか?
例文:
The problem is more cultural than technical.
この問題は、技術的というより文化的なものです。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- 2つのものではなく、1つのものが持つ2つの性質を比べる形
- 訳は「BというよりA」。than の後ろが否定される側になる
- 短い語でも必ず more を使う(× luckier than clever)
解説例:
ここまでの比較級は、2つのものを比べる形でした。
でもこの形は違います。1つのものが持つ2つの性質を比べているんです。
この文なら「この問題」という1つの対象について、文化的な面と技術的な面のどちらが強いかを言っています。
だから訳は「より文化的」ではなく、「技術的というより文化的」になります。
than の後ろが比較の相手ではなく、否定される側なんですね。
ここを取り違えると意味が逆に見えてしまいます。
形の上でも大事なルールがあって、この形では短い語でも必ず more を使います。
more lucky than clever が正しくて、luckier than clever とは言えません。more が「どちらかといえば」の印になっているからです。
⑮ no more / no less than、説明できますか?
例文:
The school has no more than ten tablets.
その学校には、タブレットがたった10台しかありません。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- no more than=たった〜しか、no less than=〜も(どちらも評価が入る)
- not more than=多くても、not less than=少なくとも(事実だけ)
- no は気持ち、not は事実。カード④の対立がそのまま数量にも出る
解説例:
これは、カード④で見た「no は差がゼロだと言い切る」が、そのまま数量に使われた形です。
no more than ten は「10より多いということはまったくない」。
つまり「たった10しかない」で、少ないという話し手の評価が入ります。
反対が no less than で、「10より少ないということはない」=「10も」。
同じ10でも、少ないと思っているか多いと思っているかで語が入れ替わるんです。
ここで効いてくるのが not との違いです。
not more than は「多くても10」、not less than は「少なくとも10」で、こちらはただの事実です。
no は気持ち、not は事実。カード④と同じ対立が、そのまま数量にも現れています。
⑯ know better than、説明できますか?
例文:
You should know better than to believe everything online.
ネットの情報を何でも信じるほど、分別がないわけではないでしょう。(※動画には登場しない参考例)
要点:
- know better than to do=「〜しないだけの分別がある」
- than の後ろに to不定詞が来る、めずらしい形
- than 以下は省略できる。カード③の than の省略と同じ現象
解説例:
know better は直訳すると「もっとよく知っている」ですが、意味は違います。
「そんなことをしないだけの分別がある」という意味なんです。
何と比べて better なのかが、than 以下に置かれます。
特徴は、than の後ろが to不定詞だということです。
than to believe で「信じるという行動よりは、物を知っている」。
than の後ろに名詞でも節でもなく to do が来る、めずらしい形ですね。
そして会話では、than 以下ごと省略されることもよくあります。
You should know better. だけで「いいかげん分かるでしょう」。カード③で見た than の省略が、決まり文句のところまで来た形です。
今日の表現をAnkiで復習しよう

記事に出てきた動画の表現を、そのままAnkiに取り込めるようにまとめました。
今回は原級編と同じ動画を教材にしているので、カードの中身は前回と同じ12個です。
すでに取り込んだ方は、ここは飛ばして構いません。
はじめての方は、比較級とセットで覚えると効きます。
特に used to be(以前は〜だった)は、than のない比較級を読むときの相棒になる表現です。
「以前と比べて」が省略されている文を、頭の中で補う練習にそのまま使えます。
知らなかった表現を追加・編集して、自分専用のカードを作ってみてください。
知らなかった表現を追加・編集して、そのままAnkiに取り込めます。
| 表現 | 発音記号 | 意味 | 動画の例文 | シンプル例文 |
|---|
- PC・Android(AnkiDroid含む):「💻 PC・Android用」ボタンで
anki_import.txtをダウンロードし、Ankiのファイル → インポートから取り込む(区切り文字はTabを選択) - iPhone(AnkiMobile):「📱 iPhone用」ボタンで
anki_import.apkgをダウンロードし、AirDropやFilesアプリでiPhoneに送って、AnkiMobileの設定(歯車) → Import File から開く
まとめ:比較級の16の形を再確認しよう

さて、今回は「比較級は目盛りをずらして差をつくる装置である」というテーマで、16の形を見てきました。
- -er / more ― 形を変えて差をつくる。短い語は -er、長い語は more
- than ― 比べる相手を導く接続詞。原級の2つ目の as にあたる
- than の省略 ― 相手が文脈で明らかなら、than ごと消える
- not / no + 比較級 ― not は事実の否定、no は差がゼロだと言い切る
- much / a bit ― 差の大きさまで伝える。very は使えない
- 数字 + 比較級 ― two kilos heavier のように実測値を直前に置く
- more / less ― many / much と little の比較級。量そのものを比べる
- 比較級 and 比較級 ― くり返して「ますます〜」
- the 比較級, the 比較級 ― 前半が条件、後半が結果
- all the / none the ― 理由があるぶん、なおさら/少しも〜ない
- the + 比較級(2者) ― 2つに絞られたときだけ the がつく
- superior to ― than ではなく to を取る語
- than any other ― 比較級で最上級を言う。後ろは必ず単数
- more A than B ― 「BというよりA」。短い語でも more
- no more / no less than ― no は気持ち、not は事実
- know better than ― than の後ろに to不定詞。than 以下は省略できる
16と聞くと多く感じますが、出発点はたった1つです。
目盛りをずらして、差をつくる。
ずらす道具が -er と more。
ずらした先の相手を言いたいときだけ than を足す。
ずれ幅を伝えたいなら much や a bit、はっきりしているなら数字を置く。
そして相手が分かりきっていれば、than はまるごと消える。
後半9つの決まり文句も、この骨組みの上に乗っています。
the がつくのは対象が2つに絞られたから、to になるのはもともと比較級ではないから、
than の後ろに to不定詞が来るのは「行動」と比べているから——どれも理由があります。
今日の16のうち、まずおすすめしたいのは③の「than の省略」と④の「not と no」です。
than のない比較級で「何と比べているんだろう」と立ち止まれるようになり、no がついたときに話し手の気持ちを読み取れるようになると、英文の読み落としが目に見えて減ります。
もし今日の内容で「なるほど」と思った部分があれば、ぜひコメントで教えてください。
次回は、the -est で「いちばん上」だと言い切る「最上級」を扱う予定です。
さらに英語学習を進めたい方へ

発音が気になっている方へ
文法と同じくらい大事なのが、発音です。
「読めるのに、なぜか伝わらない。」
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実は、発音には明確なルールがあります。
ルールを知るだけで、ネイティブの英語がグッと聞き取りやすくなります。
話すときの自信も、ぜんぜん違ってきます。
発音の基礎からしっかり学びたい方は、こちらをどうぞ。
学習習慣がどうしても身につかない方へ
「やる気はあるのに、続かない。」
これ、意志の問題ではありません。
一人で学び続ける仕組みがないだけです。
私も独学時代、何度も挫折しました。
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話す機会を探している方へ
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自宅にいながら毎日ネイティブと話せる環境は、数年前には考えられなかったことです。
